これが魔界のやり方なのか……? ― 凶乱マカイズム(レビュー)

無策なインフレは滅びへと繋がる。


[タイトル]
凶乱マカイズム [公式サイト]

[対応ハード] ※★でプレイ
★PS5 / Nintendo Switch / Nintendo Switch 2

[プレイ時間 / 進行度] ※レビュー時点
6時間 / ストーリークリア(3時間) / 修羅到達(5時間)


はじめに

今回も始まりました日本一の発売日買いです!
ずっと新作が出ていなかったのでデラックスをお布施しました!アーリーでやりました!

ということで、今回レビューするのは「凶乱マカイズム」
ディスガイアで知られる日本一ソフトウェアの無双アクション?である。
名前から見ても、ディスガイアを意識しているのは間違いないだろう。

私の初発表時の感想は「無双アクション*ディスガイアはそこそこやれそう」だった。
だが情報が公開されるにつれ、システム面がほぼディスガイア踏襲であることが分かり、
そうなると「独自の捻りを加えない限り厳しいだろうな」という印象になりつつあった。

その予想を裏切ることができるのか。
昨今の日本一のバランスの巧さで、素晴らしい化学反応を起こせるのか。
そもそも日本一の技術力で、まともな3Dアクションは作れるのか。

これは久々の「昂る」タイトルであることは確かだ。
ということで、いつもの人柱レビューを行いたいと思う。

 

ギリギリ遊べるアクション

本作のアクション部分は、意外にも(?)そこそこ遊べる部類だ。
攻撃面は弱攻撃/強攻撃/CTスキル4種で、防御面はステップとガードがある。
移動はステップ/ジャンプ/ランがあり、ほぼ攻撃はステップでキャンセル可能だ。

方向転換にフレーム消費はほとんどないし、攻撃範囲もそれなりに広い。
キャンセルの方針からも、ストレスが溜まるようなアクションではない。
普通にサクサク動かせるし、普通に遊ぶ分には許されるレベルのアクションだろう。

といっても、令和基準か?というと明らかにレベルが足りていない
例えるならば、旧作のテイルズに近いアクションといったところで、
操作性という意味では軽快でストレスは溜まらないものの、深さはない感じだ。

ボスや敵のモーションについても、似たような感想だ。
予備動作は分かりやすいが、攻撃テンポが遅く非常に温いといってよい。
これまた、旧作のテイルズみたいなイメージをしてもらえればいいと思う。

一応、唯一褒められる点としては、CTスキルすべてに発生時パリィがあることだ。
これにより、ほんとに単調に回避するだけよりはマシなアクションとなっており、
大仰な予備動作を見てからパリィをするというゲーム性だけは担保されている。

といっても……これはまあ後段で述べるとしよう。

 

深みのないビルド要素

次に、自機強化について述べていく。
本作のビルド要素なのだが……ほとんど存在していない。
というか、ディスガイアそのまんまといってよい。

圧倒的な攻撃力をインフレさせて手に入れるくらいしかやることはない。
特定の攻撃だったり、特定の組み合わせでシナジーを形成するみたいなことも難しい。
基本的には数字をインフレさせること=ビルドになっており、深みはない。

そしてこの「インフレ」が、手付かずの「ディスガイア」であることに大きな問題がある。
ゲームシステムがほぼディスガイアであること自体が、大きな問題なのだ。

 

ディスガイアそのままであるということ

本作の一番の問題は、ディスガイアそのままであるということだ。
育成/強化システム、インフレのさせ方がそのまんまディスガイアなのだ。
これは、「ディスガイアだから許されている」のであり、アクションでは許されない

例えば、アイテム界で武器をインフレさせたとしよう。
そうした場合、ディスガイアよろしく敵はワンパンになる。ボスもワンパンになる。
いやまあだってディスガイアでしょ?という感じで、当たり前のようにインフレする。

なのだけど、これはアクションゲームなのだ。
アクションゲームにおいて、ボスがワンパンになってしまったら本当に虚無でしかない。
一定の歯ごたえが無いと、アクションは成立しない。これはターン制バトルではないのだ。

そしてこのインフレは、ターン制であるからこそ、部分的に制限されていた。
ターン制であれば、ワンパン出来るキャラがいても基本的に1回しか行動できない
だから、最低限の戦略はあったし、過剰なまでの無双をするには相当鍛える必要があった。

だけど本作は、アクションなのだ。そしてアクションはかなり温い。ダメージは食らわない。
だから一回インフレさせてしまうと、それはもう極端なまでの蹂躙になる。
本当に悲惨なレベルの蹂躙であり、虚無感漂う「無双」ですらない「作業」になってしまう。

これが本当に致命的で、適宜アイテム界を挟むだけでラスボスまでワンパンだった。
こんなんでいいのか?
いやディスガイアそのものではあるのだけど、アクションだろ?

こんなんでいいのか?

 

インフレ一辺倒が生み出すプレイフィール

で、これらすべてを総合して生み出されたのが「全く変わらないゲーム体験」だ。
最初の5分から最後の5分まで、ゲーム体験に一切の変化がない。
要素が解放されたときにワクワクすることもなければ、プレイフィールも変わらない。

それも当然だ。
本作はアクションなのに、アクション面に絡むアンロックが一切ない。
(実はあるのかもしれないが、少なくとも修羅到達までは一切なかった)

戦闘はインフレさせてワンパンするだけで、使用する攻撃も変化がない。
ミッションないしストーリークエストは雑魚殲滅からのボスだけで、これまた変化がない。
更に言うと、敵の数自体にも大きな変化がなく、無双感にも変化がない。

変わるのは、数字の大きさだけ。
ディスガイアは、編成に大きくゲーム体験が依存していた。でもそれは消えた。
だからマカイズムは本当に頭を使うところがないし、プレイフィールも一切変わらない。

本当に致命的なくらい、何も変わらない。

 

日本一ならではの捻りが全くない

とまあ、ゲーム体験として非常にお粗末なのは疑いようがない。
なのだけど、今回一番残念だったのは「捻り」や「思考」が見えなかったことだ。

例えばディスガイア6という虚無ゲーがあった。
ただこれは、「無駄な時間を使いたくない」「企業wikiを見たくない」という、
近年発生してきた課題に対して一定の回答を出そうとした形跡が見えた。

だから、ディスガイア6はゲームとしてはお粗末でも、よい「スベり方」をしていた。

だが、マカイズムは違う
「アクション*ディスガイア」で、ディスガイアのマンネリを払拭しようとしたのは分かる。
そういう企画として始まったんだろうな、という印象は大いにある。

なのだけど、それならば「アクションならでは」のシナジーを作らないといけない
ただマス戦闘からアクションにそのまま移植したって、システムがハマる訳がない
そういった「思考」を本作のゲームデザインから感じ取ることが出来ないのが、悲しかった。

こんなの、いくらでもやりようがあったと思う。

例えばステータスではなく、アクションをインフレさせればよかったかもしれない。
パリィをアンロックによって付与できるとか、攻撃速度を上げるとか、範囲を上げるとか。
無限にステップできるんじゃなくて、回数を転生等でアンロックにするとか。

ステータスインフレさせるにしても、アクションを成立させればよかったかもしれない。
単純な減算ではなく、最低保証値でアクション性を担保させた方がよかったかもしれない。
ボスに即死攻撃や形態変化による捻りを加えてもよかったかもしれない。

アクションとして意味のあるステータスをインフレさせてもよかったかもしれない。
例えば防具はスーパーアーマーが壊れるまでの耐久値にするとか。
オーブはシールド耐久値を付与するとか。そういうのだ。

とにかく、アクションは「操作感」「操作難易度」の側面で出来ることがいっぱいある。
ステータスインフレだけに頼らなくても、いくらでもインフレさせることは出来るだろう。

ただ攻撃力が5倍になるんじゃなくて、攻撃速度が5倍になったら面白くないだろうか?
そしてそれは、ゲームとして破綻しそうだから誰もやらなさそうじゃないか?
こういった挑戦が本作に無いのが非常に残念であり、だからこそ日本一らしくない。

 

総評

ディスガイアそのものをアクションに変えただけのお粗末な設計。
当然、ディスガイアだから許されている要素ゆえに大きく破綻している。
その上、アクションならではの捻りも全くない。

なんというか、何がしたかったのかが全くもって理解できない。
これはスベり方として最悪のスベり方であり、毒にも薬にもならない内容であると感じた。
ディスガイアシリーズを終わらせたいのか?とさえ思う出来だ。

ここまで酷評するのはやっぱり、日本一らしくないからだ。
過去の日本一のやらかしは、意図の見えるやらかしだった。でも今回は何も見えない

 

また、これは本作の評価に大きな影響がないため評価はしなかったが、
3Dグラフィックの頭身を上げたり、寸劇をイラストから3Dにした理由もよくわからない。

いやまあ令和基準だとクオリティ必要だよね、はごもっともなのだが。
ただリアル寄り3D路線は、中韓のとんでもクオリティの「無料」ゲーと戦う必要がある。
フルプライス取ってるゲームが、エンドフィールドのモデルに大敗してていいのか?

という意味で、巨大資本がないなら2Dやデフォルメに絶対に倒すべきだと思う。
2Dやデフォルメは低予算であっても芸術として成立できる。
なぜここで戦うのか?といったところを含め、迷走している印象を強く受ける。

 

……まあでも、日本一ファンの諸賢にとっては、この破綻には懐かしさを覚えるかもしれない。
最近は安定し過ぎていたため、ノスタルジーのために売り上げに貢献するのも一興だろう。
日本一ファンではない人には全くおすすめはしないが。

 

個人的お勧め度: ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(0/10)

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