濃縮還元から、生絞りへ ― ELDEN RING(レビュー)

世界は、ただそこにあるべきなのだろうか。


[タイトル]
ELDEN RING [公式サイト]

[対応ハード] ※★でプレイ  
★PC / PS5 / PS4

[プレイ時間/進行度] ※レビュー時点
100時間 / ストーリークリア(探索6割くらい?のクリアタイムは40時間)


はじめに

今回紹介するのは、フロムソフトウェアの期待の新作「ELDEN RING」だ。
最近大きな賞を受賞したダークソウルで有名なフロムの新シリーズとなる。
一言で言うなれば「ダークソウル*オープンワールド」なゲームだ。

本作にストーリーはあるものの、探索範囲の自由度は極めて高い。
プレイヤーは広大な世界を、自由気ままに冒険する。
その中で、ステータスと実力を強化しつつもストーリーのクリアを目指すのだ。

フィールドを走り回る「マクロ」な探索と、ダンジョンを踏破する「ミクロ」な探索。
この両者を、統一されたファンタジーな世界観で融合させようとしたのが本作であろう。
事前のメタスコアで驚異の得点を記録した本作、忖度することなく批評していこうと思う。

なお、本レビューは「オフライン」かつ「攻略を一切見ない」前提のレビューである
オンライン周りについては二週目に少し遊んだ程度なので、その辺りはご了承願いたい。

 

美しき景観の数々

本作のフィールドは、大陸ごとに景観が大きく異なる。
自然溢れる草原。毒々しい沼地。険しい山々。
ファンタジー的な「テンプレ」にあたる景観はほぼほぼ備わっている。

そんな中、世界観のコアとなる「黄金樹」だけは、どこからでも見える。
色々な景観がある中、「エルデンリング世界の一部」であるという感覚は常にある。
ベタではあるが、象徴的な景観を常に意識させられることにより没入感が生まれる。

だから、テンプレ的な景観が全てあっても破綻していない。
それ故に、「説得力」と「フィールドの新鮮さ」が両立されていると言えよう。
これはオープンワールド系の中でも最高クラスの世界設計だと感じた。

 

自ら発見するからこそ、探索である

ELDEN RINGのフィールドには、いわゆる野良ダンジョン的なものが点在している。
オープンワールドのお約束とも言える。

本作におけるダンジョンの配置は、とてもよく出来ている。
まず、本作のダンジョンは入口を見つけない限りマップに記録されない。
それ故に、適当に走り回るだけではダンジョンを見つけるのは困難だ。

であれば、くまなく探すしかない……と思いきや、そうではない。
マップを注意深く見ると、何となく「法則」のようなものが見えてくる。
プレイ時間を経るごとに、探すべき場所が明瞭になっていくのだ。

ただ、マップで目星を付けられるのは平面的な座標だけだ。
本作のマップはとても立体的であるが故に、簡単には見つからない。
だから、「きっとこのあたりにある」を頼りに、周囲をくまなく探索することになる。

プレイヤーが推測しやすく、かといって簡単に見つかる訳ではない。
このあたりのバランス感がとてもよく、ダンジョン探しはとても面白い。

 

進化したメインダンジョン

ストーリーに絡むダンジョンは、かなり立体的な造りだ。
ソウルシリーズでも、立体的な位置関係を描くことは確かにあった。
だが、実際に「立体的に探索する」ことは無かったように思う。

本作のメインダンジョンは、言うなればソウルシリーズとSEKIROの混ぜ合わせだ。
いつものように、平面的な場所は薄暗く入り組んでいる。
そしてその平面的な場所を一つの層として、立体的に重なり合っているイメージだ。

だから、平面的に探索したと思っても「縦の探索」が残っている。
そしてそれが縦であるが故に、視点的にも繋がりを意識しやすい。
「こことここが繋がっていた」という気付きが、過去作に比べ非常に多い。

ただ、良くも悪くもスケール感はない。
常に繋がりが意識出来るからこそ、地理的な把握もしやすいのだ。
従来のシリーズに見られた、「最後の最後で繋がる感動」はあまりない。

確かに三次元的に進化はした。
だが、すべてにおいて優れているとは言えない。
感動のテンポの違い……いわば「サッカーかバスケか」といった感じだろう。

 

進化した世界観

本作は、ソウルシリーズと違い「世界」レベルで表現されている。
狭いマップの集合体として「世界」を表現しているのではない。
文字通り「世界」として、広大なフィールドで表現している。

だから、世界単位で見た時の「総合的な世界観」は圧倒的だ。
「実際にそこにある世界」としての説得力みたいなものは、群を抜いている。
だが、ソウルシリーズにあった「エリア一つ一つの説得力」は無い。

エルデンリングは、世界として「完成されすぎて」いるのだ。
一つ一つの要素をリアルな尺度で散布されてしまうと、「そのまま」でしか受け取れない。
「そういう世界」だと信じてしまうと、「それはそこにあるからそこにある」のだ。

描いたディテールの総量は、きっとソウルシリーズと変わらない。
だから、「純粋な世界としての説得力」は類を見ないくらいに強力だ。
だからこそ、「プレイヤーの想像を含めた説得力」には陰りがみられる。

 

過去最大規模のビルド幅

ソウルシリーズの一つの目玉が、ビルドの面白さだ。
多種多様なステータスを振り分け、好みの戦型に近づける。
多彩な武器から魂の一振りを選び、命運を共にする。

エルデンリングでは、過去作と比べても非常に多くの種類がある。
魔法、戦技、武器の数やカスタマイズ性は圧倒的だ。

そして特筆すべきは、どのビルドも選びやすいということだ。
過去作では「魔法で攻略したい」なら「魔法のNPC」を探さないといけなかった。
だが本作はとにかく数が多いため、特定の魔法に拘らないなら何かしら手に入る。

特定の攻略に依存するビルドは、初見で上手くやるにはある程度の運が必要だ。
だが、エルデンリングはそういった攻略への依存がかなり少ない。
だから、「普通のゲームプレイ」で出来る「事実上のビルド幅」が非常に広い。

 

過去最大レベルで「難しい」ボス

本作におけるボスの難易度は非常に高い。
個人的には最も難しいとされる「SEKIRO」よりも圧倒的に高く感じた。
これは、主に後半の大ボスに言えることだ。

まず、本作は大ボスの後隙をつくのが非常にシビアだ。
というのも、連続で攻撃をする場合があるのと、そもそもの隙がかなり短いのだ。

だから、攻撃が一段落したのを見てから攻撃するのでは間に合わない。
反撃をするには、相手の攻撃に「回避の持続部分」を合わせる必要がある。
そして、当然だが適当な回避を狩るような「ディレイ攻撃」も存在する。

つまるところ、すべてのディレイ幅と連続攻撃の回数についての把握が求められる。
とはいえ、これ単体では純粋な高難易度の範疇だ。
だが、これに一つの問題が加わることで「理不尽感」が生まれる。

本作の回避は即座に発生しないのだ。

だから、「シビアな持続回避」を「回避の発生ズレを織り込んで」合わせないといけない。
これにより、やる事は分かってても操作性の問題で被弾してしまうのだ。

これはモーションの研究という「攻略」ではなく、単純な「慣れ」を要求する。
慣れたからといって、攻略に深みが出るわけではない。
ただただ難しいだけで、「慣れ」を要求されるのは純粋に面白くないのだ。

 

過去最大レベルで「難しい」道中

本作におけるエリア道中の難易度も非常に高い。
その理由は、敵と一対一を挑むのが難しい配置になっているからだ。

本作のプレイヤーアクションは、1対1を想定したものだ。
攻撃の発生は早くは無いし、攻撃中は隙だらけだ。
相手の攻撃をいなしてから動くゲームにおいて、n対1は非常に難しい

恐らくだが、本作はオンラインを想定したマップデザインがされている。
そもそもが多対多を想定した造りになっているのだろう。

オフラインの場合は使い魔を呼ぶことが出来るものの、根本的解決には至っていない。
だから、「アクションの腕前や知識で攻略する」ことがかなり難しい。
それゆえに道中は「アクション」というよりは「RPG的消耗戦」になりがちだ。

 

過去最大レベルで「難しい」中ボス

本作の野良ダンジョンの難易度も、やっぱり非常に高い。
その理由はいくつかあるが、特に目についたものを挙げる。

まずは、とにかく連続して攻撃してくることだ。
本作では非常に発生が早く、回避が困難な行動を連続してくるボスが散見される。
これにより、使い魔にヘイトを取ってもらうことを前提とした攻略になりがちだ。

そして、「出待ち問題」だ。
一部ボスは、ボス部屋に入った瞬間に攻撃を始める。
これが厄介なのは、使い魔の召喚が遅いが故に開幕の被弾が避けられないことだ。

最後に、複数戦だ。
後半の一部ボスは、使いまわしたボス個体を複数配置しただけのボスになっている。
道中の複数戦ですら厳しいのに、それがボスならば真っ当に攻略するのは不可能に近い

これらが相まって、道中同様に「消耗戦」のようなバランスになっている。

 

「オープンワールド」と「ソウル的レベルデザイン」

オープンワールドは、文字通り「進行や探索が自由であること」だ。
プレイヤーの好きなように探索し、好きなように道順を決められる。
だからこそ、自由を担保出来るような工夫が裏にはある。

例えばSkyrimでは、敵の強さがプレイヤー比例で動的に決まる。
どのように探索しても、レベル的に攻略がほぼ不可能であることは少ない。

例えばWitcher3では、そもそも行けるエリアが章ごとにある程度決まっている。
だから、大きく難易度の乖離したエリアにはいくことが出来ない。

それに対し、「エルデンリングは自由過ぎる」のに「静的レベルデザイン」だ。
ある程度は段階的にエリアが開放されるが、それでも範囲が広すぎる。
だから、ステータス的に足りない場所だと「探索したのに後回し」になってしまう。

これが、アクションの腕で何とか出来るなら大きな問題はない。
だが、本作はどうしても「消耗戦」寄りなバランスだ。
故にオープンワールドでありながら、「事実上の進行ルート」に縛られている感が強いのだ。

 

「オープンワールド」と「ソウル的ステータス強化」

本作におけるキャラクター強化の根幹は、ダークソウルシリーズと変わらない。
武器を鉱石素材で強化することで、火力を大幅に上げるのだ。
このシステム自体に不満はないのだが、兎に角オープンワールドとの相性が悪い。

本作は「消耗戦」故に「探索範囲」が事実上制限される。
その探索範囲……いわゆる「自由度」を定義付けるのは「武器強化」になる。

だが、この鉱石素材の要求数が非常に多い。
そして、その素材の供給が「特定のダンジョン」に大きく依存している。
それ故に、その「特定のダンジョン」を見つけられるかのゲームになってしまっている。

だから、「片っ端から自由気ままに探索する」ゲームプレイは難しい。
どちらかというと「片っ端から鉱石を探しまわる」ゲームプレイになる。

別に、ロケーションだけ開放して攻略は後回しというスタイルを否定する気はない。
単に、プレイヤーの進め方を制限する強化システムになっているのだ。

 

使いまわしの多さと「ダレ」

本作におけるオブジェクトや、エリアボスには多くの使い回しが見られる。
私もプレイ中に特定のボスをどうしても倒せなくて後回しにしたら、
その次の探索で同じボスが出てきた、なんてことがあった。

というくらいに、同じボスは恐らく世界に10体くらいは存在している。
中盤くらいまでは良いものの、後半くらいからは「またお前か」状態になる。
だから、終盤の探索はかなりダレてくる。

それでも、武器強化システムのために探索を強いられてしまう。
探索しないでストーリーを追うのも自由……ではないのだ。
だから、どうしても「開発の定めた導線」を強く印象付けられてしまう。

 

オンラインの選択肢は、開かれている

ボスの問題。道中の問題。導線の問題。
確かに、オフラインでやる分にはデザイン上の問題があると考える。
だが、逆にオンラインでやるならば問題は無いかもしれない。

ボスは理不尽だが、それ故にマルチプレイは常に緊張感がある。
道中は消耗戦になりがちだが、マルチプレイなら丁寧にプレイも出来よう。
攻略情報を調べ、ある程度導線からプレイすればストレスは少なくなる。

最低限の攻略情報と、オンラインマルチでの攻略。
本作は良くも悪くも、過去のシリーズと違いこれを前提としている。
MODのように、自分の中にあるラインに合わせて開放するのが肝要だろう。

 

総評

本作はオープンワールドであって、オープンワールドではない。
探索の自由は見せかけであり、武器強化とレベリングに依存している。

本作はソウルシリーズであって、ソウルシリーズではない。
アクションと攻略で何とかするのではなく、本質はRPGのような消耗戦だ。

ソウルシリーズは、「濃縮還元」だ。
濃縮された体験を、自らの想像力でもって還元する。

エルデンリングは、「生絞り」だ。
それがそこにある、という当たり前をただ享受する。

 

優劣は、決められないかもしれない。
個人的には「濃縮還元」が好みだが、「生絞り」の素晴らしさもある。
それくらい、世界観の表現については「完璧すぎる」良さがあるのも間違いない。

ただ、純粋なレベルデザイン上の不和や使い回しは明確なマイナスポイントだろう。
その辺りを補うくらいの世界観表現はあるものの、万人受けの超高得点ではない印象だ。
それくらい、その素晴らしい世界を体験する際のノイズが強すぎるのだ。

 

[追記]
二週目を鉱石素材の情報ありでやった場合、レベルデザインの問題はほぼ無かった。
少しでもダレたら、武器強化だけ攻略情報を見るのも視野に入れるべきだろう。
またver1.03にて、鉱石関連の救済となる修正がされた模様。

また、本作の回避は「ボタン離し」で発生する。
押しっぱなしで回避そのものをキャンセルしたり、離すタイミングでディレイをかけられる。
このテクニックを使うとボス戦が遥かに楽になる……が、必須テクとするには難しめだろう。

最後に、本作の難易度設計を受け、下記のような記事を書いたので興味があればぜひ!

 

個人的お勧め度: ★★★★★★★★✩✩(8/10) ※オフライン/攻略情報なし
個人的お勧め度: ★★★★★★★★★✩(9/10) ※適宜オンライン/攻略情報あり

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