悠久の時を経たRPGツクール ― The Elder Scrolls V: Skyrim(レビュー)

神ゲーが人の数だけあるなら、各々が作ればいい。


[タイトル]
The Elder Scrolls V: Skyrim [公式サイト]

[対応ハード] ※★でプレイ  
★PC

[プレイ時間 / 進行度] ※レビュー時点
80時間 / 一通りの主要クエストをプレイ / DLC全部あり


はじめに

今回取り上げるのは、超有名タイトルである「The Elder Scrolls V: Skyrim」だ。
数多く存在するオープンワールドの中でも、圧倒的な数の狂信者を生み出したRPGだ。
2021年なってAE(10周年バージョン)が発売されるなど、未だ衰えを知らない。

正直なところ、このゲームは評判と比べ割と「普通」な印象を受けた。
普通にオープンワールドしている、という感じだろうか?

だが10年の「月日」が、全てのプレイヤーにとっての「理想」を提供した
これはオープンワールドRPGであって、オープンワールドRPGではないのだろう。

ここまでの根強い人気を誇る作品は、何が凄いのか。逆に、何が過大評価なのか。
何故、オープンワールドRPGであって「そうではない」のか。
そういったところを、プレイ時間80時間というライト寄りな立場でレビューしていこう。

 

Skyrimという世界を「探索」する

本作のタイトルとなっているSkyrimは、旅をする場所の名前だ。
極寒の地であるSkyrimには、絶景もあればダンジョンもあるし、町もある。
そういった世界を、プレイヤーは様々なクエストを通して旅をする。

Skyrimの探索において、優れている点は2つ。
一つは、「地の利」を活かした「美しい自然」を堪能できること。
二つは、探索における「理由」が存在するようでしない絶妙なバランスであること、だ。

 

Skyrimでは、標高の高いところから氷河まで、いろいろなロケーションがある。
そんな風景を「いろいろな角度から眺められる」というのがとても良い。

雪山の山頂から町を見下ろす。氷河の彼方から石造りの建物を見上げる。
このオープンワールドであるという「地の利」が、Skyrimにおける探索の「強さ」だ。

そして、その探索は縛られたものではない。それ故に、目標を失いがちだ。
だが、このゲームにはサブクエストが膨大に存在する。
この補助輪が良い感じに「選択肢が多すぎる不自由」を「都合よく」回避させるのだ。

このあたりの仕様が相まって、探索の完成度は非常に高い。

 

及第点レベルの育成/生活/冒険要素

Skyrimは、RPGの例に漏れずキャラクターの成長要素がある。
クエストの数も非常に多く、すべてをクリアするには数百時間はかかるだろう。
また、オープンワールドであるが故に、ギルドや結婚などの要素もある。

だが、これらの要素は非常に「浅い」

SkyrimのスキルシステムはElonaの洗練されたそれには遠く及ばない。
純粋に「基礎ステータス」を「スキル名」に置き換えたレベルのものでしかない。

Skyrimの生活システムは、ただの「フレーバー」だ。
所属が決められる。結婚出来る。家を建てられる。武器が作れる。
確かに出来ることは多いが、それらは全てただ「出来る」だけで、深さがない。

Skyrimの冒険要素は、探索を除けば非常に単調だ。
ダンジョンの造りはそれなりに雑だし、クエストはお使いだ。
メインシナリオですらエキサイト翻訳が目立ち、雰囲気などあったものではない。

結局のところ、このゲームのRPG要素は「ロールプレイの為だけ」にあるのだ。
要素を楽しむのではなく、属性を付与するためのパラメータ。
そういったレベルでしかない、というのが正直な感想だ。

 

ゴミみたいな操作性と戦闘

僕はこのゲームを一度投げた。
何故かというと、操作性と戦闘があり得ないレベルで酷いからだ。

確かにこれは令和のゲームではない。だが、次世代機レベルのものではある。
そんなゲームで、プレイヤーがアイスホッケーみたいな動きをするだろうか?
そのあまりの操作性の悪さは、QWOPを思い出すレべルだ。

移動がそれならば、戦闘はもっとひどい
アクションRPGとは名ばかりの、ただの殴り合いだ。
回避もなんもあったもんではないし、回復はポーズ中に瞬時に出来る。
コマンド式RPGの方がまだ戦略があったものだろう。

このゲームにおけるアクション的な要素は、とにかく全てが低水準だ。
それ以外に言う事は一切無い。

 

そして時間が解決する

結局、これだ。すべてはMODなのだ。
このゲームの本質的な面白さは、「Skyrimであるから」ではない。
10年も優秀な人間が束になって開発し続けてるから、面白いのだ。

私がこのゲームを投げた時は、TDMというMODは無かった。
このMODは、操作性を一気に令和の最低水準にまで引き上げる。

私がこのゲームを投げた時は、Combat Gameplay OverhaulというMODは無かった。
このMODは、戦闘を一気に平成後期のレベルに引き上げる。

ダンジョンの単調さ。育成の単調さ。そしてグラフィック。
全ての要素が、現在進行形で進化を続けている。
MODを更新する限り、このゲームは最新のゲームであり続けるのだ。

 

総評

多くの熱狂的なファンを生み出したSkyrimは、「素晴らしい」RPGではない。
光るところはあるものの、どうしても完成度の低い部分が目立つ
令和の時代では、クソゲーと揶揄されても仕方ないかも知れない。

だが、その「耐えられない部分」を自分の好みになるように改造すれば話は別だ。
令和水準の多数のMODで、その「粗」を修正すればいい。
そうすれば、令和の時代においても「神ゲー」になる。

 

実際のところ、Skyrimは「RPGツクール」なのだろう。
Skyrimバニラという「不完全なサンプルゲーム」を参考に、
MODという「標準アセット」を使って、「ぼくのかんがえたさいきょうのRPG」を作るのだ。

 

個人的お勧め度(バニラ): ★★✩✩✩✩✩✩✩✩(2/10)
個人的お勧め度(MOD): ★★★★★★✩✩✩✩(6/10)

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