全てのループに、命をかけて。 ― Loop Hero(レビュー)

でもこのループは、「捨て」だな。


[タイトル]
Loop Hero [公式サイト] ※無かったのでsteamリンク

[対応ハード] ※★でプレイ  
★PC / Nintendo Switch

[プレイ時間/進行度] ※レビュー時点
20時間弱 / ストーリークリア ※普通にやったら倍くらいかかりそう(後述)


はじめに

今回紹介するのは最近流行りのデッキ構築型ローグライトであるLoop Heroだ。
ジャンルはデッキ構築型ローグライトタワーディフェンス(?)だろうか?
ただ回って戦闘するだけの勇者の周りに、いろいろなタイルを配置するゲームだ。

タイルはエネミー召喚だったり主人公強化だったり特殊効果だったりするのだが、
基本はエネミー配置→倒してタイル獲得→一定数タイル配置でボス戦、という流れとなる。
周回ごとに敵が強くなるため、如何に効率よく敵を倒しタイルを埋めるかが肝要だ。

また、ローグ”ライト”と評したように、本作には拠点強化システムがある。
前回の挑戦で失敗したとしても、拠点を強化することで次回は有利に進められる。

とまあここまでは普通のローグライトなのだが、実は本作は拠点強化にかなり偏っている
それ故、実情としては「ローグライトの皮を被ったハクスラ」というべき内容だ。

ということで、詳しく見ていくとしよう。

 

シミュレーション要素全振り

Loop Heroでは、勇者の周回から戦闘まで全て自動で進行する。
プレイヤーが出来るのは、タイルを配置することだけ。
そして、タイルやパッシブ能力などは出撃前にある程度選択する。

ある程度の運はあるものの、実戦では適宜タイルを配置して眺めるだけだ。
そこに判断の難しい選択はほぼほぼ無いし、最適解は分かりやすい。
だから、事実上出撃前にビルドは完成しているし、実際そのビルドの再現性は非常に高い。

雰囲気で言うと、プレイング要素の少ないカードゲームのような感覚だ。
ローグライクというよりは戦略シミュレーション、が正しい認識だろうか。

 

シミュレーション全振りの割に、選択肢が少ない

先程述べたように、このゲームには「プレイング」がほぼ存在しない。
だから、シミュレーションにおける試行錯誤がコアのゲームプレイになるはずだ。
だが、Loop Heroにはシミュレーションで頭を悩ませる要素が少ない。

そもそも、デッキビルドで選択できるタイルが(事実上)かなり少ない。
例えば、敵を召喚するタイルには「種族」「単体or複数」「強さ」といった差があるのだが、
この「差」を上手いことゲームプレイに活かしきれていない。

Loop Heroに複数攻撃という概念はあるものの、単体攻撃との明確な差はない。
敵の強さという概念はあるものの、結局は雑魚狩りの方が効率がいい。
種族特攻という概念はあるものの、ストーリーの範囲であれば誤差レベルだ。

これは勇者を強化するタイルにも、パッシブスキルにも言えることだ。
だから、ビルドに幅があるようで実際はほとんど無い。

 

シミュレーション全振りの割に、稼ぎを要求する

ローグライトの理想形は、「試行錯誤しつつ強くなっていける」ことだと思う。
完全にキャラをロストしてしまうと、失敗したときの喪失感が大きすぎる。
だから、試行錯誤を要求しつつも「次はちょっと楽だよ」というエサを与えるのだ。

だが、Loop Heroにおけるここのバランス感覚はあまりよろしくない。
というのも、明確に「稼ぎ」を要求するからだ。

 

Loop Heroにおける「エサ」は、拠点強化だ。
出撃を終えるたびに手に入るリソースを使うことで、様々な効果を得ることができる。
ここまではいい。

良くないのは、拠点強化が基本のゲームプレイと噛み合っていないことだ。
結局のところ、本作は「いかに効率よくタイルを置くか」のゲームだ。
攻略を前提とした出撃では当然「短時間で効率よく」が求められる。

一方、リソースを手に入れる場合は逆に「長時間回す」ことが求められる。
当然、これには基本的な攻略とは全く異なるゲームプレイを要求される。
攻略が短距離走なら、リソース稼ぎは持久走と言えよう。

攻略を詰めるプレイングをすると、リソースは思ったように手に入らない。
リソースを手に入れるプレイングをすると、攻略を詰めることが出来ない。
言い換えれば、試行錯誤の延長線上に拠点強化がないのだ。

 

総評

ローグライト戦術シミュレーション……の皮を被ったハクスラ作業ゲー
シミュレーションとして評価するならバランスが悪い印象だ。

また、冒頭のプレイ時間についてだが、私はiniファイルを弄って4倍速でプレイした。
稼ぎの時間を省くことで、ローグライトとしてそこそこ楽しむことが出来た。
ハクスラよりローグライトを求めるなら、調整してプレイするのも一考に値する。

 

というか、このゲームはハクスラとして楽しむべきなのかもしれない。
ローグライトとしてやってしまった以上、もうハクスラとしての評価は出来ないが
「ストラテジーチックで飽きにくいハクスラ」と考えるなら、普通に良ゲーだろう。

 

個人的お勧め度: ★★★★✩✩✩✩✩✩(4/10)

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