なんてことない普通の良ゲー ― ライザのアトリエ(レビュー)

「なんてことなさ」という、諸刃の剣。


[タイトル]
ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜 [公式サイト]

[対応ハード] ※★でプレイ  
★PC / Nintendo Switch / PS4

[プレイ時間/進行度 / DLC / MOD ] ※レビュー時点
20時間弱 / ストーリークリア / DLCなし


はじめに

アトリエシリーズ、というのを聞いたことはあるだろうか?
ほのぼのとした平和な世界観で、調合というシステムをメインにしたJRPGだ。
今回紹介するのは、一部で話題にもなった「ライザのアトリエ」だ。

実を言うと私は、アトリエシリーズはPSPlusのフリープレイで何度か触ったことはある。
ただ、煩雑な調合と起伏の無いゲームプレイが合わず、2作ほどやったが全て投げている
だが、今作はなんだかんだ最後までプレイすることが出来た。

コンセプトは「ちょっとした冒険」とのこと。
「なんてことない」というのも作中の頻出ワードで、平和な世界観をよく表している。
まさに「なんてことない」ゲーム、といってもいいかもしれない。

ということで、細かく見ていくとしよう。

 

分かりやすく、やりがいのある調合

本作のメイン要素は当然「調合」である。
戦闘アイテムや装備といった戦力面での増強は、基本的に調合を用いる。
それだけではなく、要素のアンロックやストーリー進行にも絡んでいく。

調合を頑張れば、進行度とかけ離れた戦力を手にすることも出来る。
調合は、「頑張ればチートになる」ような要素としてデザインされているのだ。
これにより、システムを利用する「価値」を肌で感じやすい。

特に、今回から(?)調合のハードルが大きく下がった。
戦闘アイテムは消費しなくなり、厳選と大量生産の二重苦から開放された。
また、品質や特性の厳選自体が、直感的かつ分かりやすい造りとなっている。

これは、過去作ファンからしたら「簡単すぎる」かもしれない。
ただ、煩雑過ぎないことで「自力で頑張れる」範疇に収まっている。
効果の大きさも相まって、頑張って調合をしたくなるバランスだ。

 

単調だが、「弁えた」戦闘

本作の戦闘は、とても単調だ。
MPのようなものを使ってアイテムを使用するか、通常攻撃っぽいものを使うかだ。
戦略的な要素はほぼほぼなく、やり方で突破というよりはゴリ押すゲームだ。

一応、戦闘中に「変化」のような要素として、タクティクスレベルがある。
ざっくりいうと戦闘経過に応じ、味方パーティーの攻撃が激しくなっていく。
それだけの要素であるため戦略要素は皆無だが、気持ちよさはある。

そして、実際問題こんなのでいい、と感じる。
というのも、本作の主役はあくまでも「調合」だからだ。
だから、戦闘は「調合」の発露の場と割り切っても成立するのだ。

強いアイテムを作って、雑魚を瞬殺する。
こんな感じに気持ちよくなれるなら、役目としては十分だ。

 

全う仕切れないボス戦

先程、戦闘の単調さは「調合」の引き立て役、という話をした。
だが、「物足りなさ」もある。

というのも、本作にはボス戦が殆どないのだ。
それも、5時間に1度とかそういうレベルでしかボス戦が存在しない。

範囲火力の気持ちよさは、雑魚戦にアイテムを投げることで味わえる。
だが、「現時点の最強火力」をぶつける相手が、なかなかいないのだ。
これは、ゲームとして非常に大きなマイナスポイントだと感じる。

凝ったボスが欲しい、というわけではない。
単純に、物語の節目……つまるところ調合の節目に、サンドバッグが欲しいのだ。
「調合頑張りましたで賞」を得られるかどうかは、ゲームの射幸性に直結する。

だから、途中から調合の「自己満足感」が否めなくなってくる。
雑魚戦で苦労しないなら、どうしても「ほどほどでいいや」となってしまうのだ。

 

そして調合は不要になる

先程も述べたように、本作にボスはほぼ存在しない。
そして、そのボスは高度な厳選を要求するレベルで強い訳ではない。
それ自体は、プレイスタイルの多様性を担保するためには至極当然だ。

だが、致命的な問題として「店売り装備」がある。
本作では、ストーリー進行に合わせて装備が販売される。
調合をしたくないスタイルに向けた補填だろうが、この店売り装備が優秀「すぎる」。

店売り装備は、いわゆる「特性厳選」が済んだレベルの装備なのだ。
実際、ラスボスも店売り装備を着ていれば基本的には問題ない。
であれば、頑張って厳選して調合する意味とはどこにあるのだろうか?

「調合頑張ったで賞」が無い事により、調合は途中から「妥協ライン」になりがちだ。
そして最後には、店売り装備に役目を奪われ「そもそもいらなくなる」のだ。

 

なんてことなさすぎる、ということ

まず初めに言っておくが、私はストーリーで大きくゲームを評価しない傾向にある。
だがそれでも、本作のストーリー展開は「なんてことない」期間が長すぎる。
それは、トロフィー取得率にも表れていると思う。

ネタバレになるので詳しくは言及しない。
一言で言うなら、「チュートリアル」が長すぎる、という感じか。

一般的なゲームでは、基本操作や基本システムは最初に開放する。
そして、ストーリー上の「冒険の始まり」を、チュートリアルの最後に持ってくる。
これは、定石のようなものなのかも知れない。

だが本作は、その「チュートリアル」に該当する部分が5時間程度ある。
5時間もの間、要素はほぼ開放されず、冒険は始まりもしない。

「ゆったりしている」のはテーマだ世界観だ、と言われればそうかも知れない。
だが、なんてことなさすぎるのは「ゲーム」として、好き嫌いが分かれるところだろう。

 

総評

快適で、効果を体感しやすい調合システムの改革。
これにより、調合が面倒に感じて投げる、ということは起きにくいだろう。
私は、本作はシリーズ通して初めて楽しく調合をすることが出来た。

だからこそ、調合がだんだんと「不要」になっていくのは致命的だ。
最後までじっくり調合が出来るのなら、本当の意味での「調合ゲー」だっただろう。

マイルドな調合、マイルドな戦闘。
全てを調合中心にしたシステムなのに、だんだんと調合が不要になる。
ストーリーは平和すぎて、「なんてことない」。

万人受けを狙った結果の、万人受けしにくいゲーム。
このような印象を受けずにはいられないのが、正直な感想だ。

雰囲気が好きなら、恐らく大きくは期待を裏切らないだろう。
それは公式サイトではなく、実際のゲームプレイにその「なんてことなさ」がある。
最初の1時間で振り落とされず、5時間くらいはのんびりやれそうなら大丈夫だろう。

 

個人的お勧め度: ★★✩✩✩✩✩✩✩✩(2/10)

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