ぼくのかんがえたさいきょうのへんせい ― ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団(レビュー)

“作られた”インテリ気分には、巧妙すぎて気付けない。

 

[作品名]

ガレリアの地下迷宮と魔女の旅団 [公式サイト]

[プレイ時間/進行度]

60時間程度/裏ダンジョンまで全てクリア

 

概要

今回評価していくのは、またまた日本一ソフトウェアからの作品であり、
まさに「全部盛りのDRPG」という表現がぴったりの作品となる。

本作は、普通のDRPGに多くの要素を「過剰なレベルで」搭載している。
マップ然り、ビルド然り、編成然り、すべての要素が「全部盛り」だ。

だが、ただ全部盛りで終わらないのが本作の魅力だ。
全ての要素が、崩壊することなく組み合わさっているのだ。

今回はそんなガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団のレビューをしていこう。

 

ハチャメチャだが、ストレスの少ない探索

ダンジョンRPGといえば、マッピングの楽しさがあるだろう。
本作は「全部盛り」DRPGらしく、ハチャメチャな探索が楽しめる。

一般的なDRPGでは、ダンジョン内にあるギミックを解除しながら進めていく。
戦闘で疲弊するから、一定間隔で探索を打ち切っていく。
じわじわとマップを埋めていくが、その歩みはとてもゆっくりだ。

だが、本作のダンジョン探索は少し異なっている。
「壁を壊す」スキルに代表されるように、どちらかというと
ダンジョンではなく「自分が出来ること」を中心にダンジョンを踏破していく

また、帰還システムが強力なのも特徴だ。
ほぼほぼ代償なしに以前まで行った場所まで戻ることができる。
これらの要素が相まって、プレイヤーが探索の方針や切り上げ時を調整できる

もちろん「楽をしないこと」でちょっとお得になるシステムもある。
リスクリターンの高い探索をしたい人は、そのようにすればよい。
全滅しないようにじっくりやりたい人は、そのようにすればよいのだ。

 

ぼくのかんがえたさいきょうのぱーてぃー

職業選択。成長傾向。
隊列。部隊編成。
武器強化。部隊強化。スキル書。
転生。転職。サブスキル。

本作の成長要素は、こんなにもある。
普通に考えて面白くないわけがない。

こういう「全部盛り」には往々にしてバランス崩壊などのリスクを大きく孕んでいる。
だが、本作はこの全ての要素をバランス崩壊させずに調理しきった。
その決め手となったのは、「崩壊しないギリギリまで強くする」という調整方針だと思う。

例えばスキルを挙げてみよう。
ありがちなバランスのゲームでは、「攻撃力+5%」みたいな塩梅が多い。
だが、本作は「特定条件で攻撃力+50%」くらいの塩梅だ。

これが何を生むかというと、攻略の達成感だ。

スキルが弱いと、攻略の意味がない。レベルを上げてゴリ押すのが最適解だからだ。
スキルが強いと、攻略の意味が生まれる。上手く組み合わせると、一気に楽になるからだ。

そして、要素が多いからこそ組み合わせは無数にある。
要素一つ一つが強いからこそ、上手くハマる組み合わせも非常に多い。
本作は、「ぼくのかんがえたさいきょうのぱーてぃー」を探す楽しさを感じさせてくれる。

 

自然な流れで誘導される、新要素の試行錯誤

本作において、先程述べたビルド周りも大変素晴らしかった。
だが、個人的に最も素晴らしいと感じたのは「プレイ体験のスムーズさ」だ。

先程上げた全部盛りの要素を、最初から与えられていたとしよう。
そうしたら、大半のプレイヤーは要素を管理できず、挫折してしまう。

先程上げた全部盛りの要素を、適宜開放していったとしよう。
そうしたら、ある程度のプレイヤーが使っていってくれるだろう。

 

本作は、その一歩上を行っている。
要素の開放に合わせ、「ソフトな詰み」の「気配を感じる」ポイントが用意されている。

詳しく話すとネタバレになってしまうので言えないが、
新要素で試行錯誤する瞬間が、ゲームデザイン上自然に混ぜ込まれているのだ。
試行錯誤をするように誘導してくれる、といったところだろうか。

前項のビルドの正解の多さも相まって、とても「頭が良くなった」気分になれる。
実際は誘導されているのに、自発的に知恵を絞って正解を選び攻略した気分になれるのだ。

 

総評

全部盛りをきれいに調理しきって、DRPGとしての面白さを改めて感じさせてくれる作品。
この「頭が良くなった感」を是非体験してみて欲しい。

ちなみに、メインでは触れていないが、総評に絡むため触れておくと、
ストーリーもそれなりに評価が高いようである(?)
私はあまりストーリーを評価しないので、触れていない。

ただ、このストーリーは裏ダンジョンまでクリアしないときれいに完結しない。
その裏ダンジョンが苦行であり、ゲーム史に残るレベルの凄まじいバランスなので
ストーリーを最後まで読み切りたい、という人は注意が必要だろう。

だが、それを差し引いても特におすすめしたい作品だ。
特に、DRPGあるあるの「地味でゆったりな進捗」が苦手な人には是非やってみて欲しい。

 

個人的お勧め度(裏ダンジョンまで): ★★★★★★★★★★(10/10)
個人的お勧め度(裏ダンジョン以降): ★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2/10)
個人的お勧め度(総合): ★★★★★★★★★☆(9/10)

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