ディアブロ3.5 ― ディアブロ IV(レビュー)
むしろ、ディアブロ2.8くらいか。
[タイトル]
ディアブロ IV(diablo iv) [公式サイト]
[対応ハード] ※★でプレイ
★PC / PS4 / PS5 / xbox one
[プレイ時間 / 進行度] ※レビュー時点
30時間くらい?※トラック出来ないので不明 / エンドコンテンツ超入り口くらい
はじめに
ハクスラというジャンルにおける超有名なシリーズ、ディアブロ。
前作ディアブロ3からかなりの年月を経て、ついに新規ナンバリングの4が発売した。
スマホ版だったり、過去作リマスターだったりはあったが、新規は久々の印象だ。
コテコテのダークファンタジーな世界観と、無限のやり込み。
本シリーズは、ランダムで武器防具に強化値が付く点とビルドの豊富さがウリのシリーズだ。
ひたすら敵を倒し、装備を強くし、また敵を倒す。それだけのゲームだ。
それだけなのだけど、この装備更新プロセスと開放プロセスの上手さが人気の秘訣だろう。
あと少しだけ、という欲望に抗えなくなるのがディアブロシリーズとも言えよう。
だからこそ、ここまでの人気タイトルとなったのだろう。
本作では、従来の「ディアブロらしさ」を維持しつつも、二つの大きな変化点がある。
オープンワールド化と、エンドコンテンツの多様化だ。
これらの要素で、進化した「ディアブロ」を目指しているような印象を受ける。
ということで、さっそくレビューに入るとしよう。
ちなみに私は、ディアブロシリーズを3/3RoSくらいしかやったことがない。
ディアブロ3については、エンドコンテンツ含めがっつりプレイした。
一方、RoSについてはエンドコンテンツを多少プレイした程度であると理解いただきたい。
総合的に見て、割とライト寄りのディアブロプレイヤーであることを前提に読んで頂きたい。
いつものアクション、いつものディアブロ
ディアブロのアクションは……とてもチープだ。
クオータービュー固定、普通の回避、普通の回復、大雑把なリソース。
回避が困難な攻撃、dpsが足りないとクリアできない要素。そういう感じのゲームだ。
そのあたりの「浅さ」は、全くもって変わりない。
いつもの、脳みそを空っぽにしてでもプレイできるディアブロそのものだ。
これは、本作においては割と利点でもあるだろう。
本作はアクション性をウリにしているゲームではなく、ハクスラがウリだからだ。
脳が溶けたほうが、基本的には面白い。そこを履き違えていないのは、好印象だ。
倒せない理由は、装備とビルド。それ以外にない。
だけど、それでいいのだ。
いつものビルド、いつものディアブロ
ビルド関連についても……いつものディアブロだ。
装備は当たりのオプション以外は基本的にはお飾りで、オプションに多様性はない。
装備効果として優秀なものが大前提となり、装備選択の多様性もあまりない。
そしてスキル選択も、同様にいつものディアブロだ。
一つの職業につき、メインとなるスキルと補助となるスキルがある程度提供されている。
どれをメインにするかで戦型が決まり、装備効果とシナジーが強いものが最強になる。
要は、戦型も装備も、結局は強いものを選ぶだけ。
あんまり頭を悩ませる必要はなくて、正解を選ぶようなゲームに近い。
だけど、「出た装備」に合わせて「スキル」を切り替えるという動機の為なら、悪くない。
装備収集という一番の要素に重きを置くのであれば、意図は非常に良く分かる。
実際、そこに面白さを求めるようなゲームでもないのかもしれない。
まあ……いつものディアブロだ。
装備が出た時はそれなりに興奮するし、じわじわ強くなるのはそれなりに溜まらない。
いつものディアブロだ。それ以外のコメントはない。
新要素としての、オープンワールド
さて、ここまででゲームの根幹部分ーアクションとビルドは、変化がないと言及した。
ここからは、「いつもの」から変わった部分について触れていこう。
まずは、オープンワールド化だ。
本作は、過去の局所的な狭いマップシステムから、オープンワールドになった。
なのだけど、オープンワールドの良さは正直言って一切ない。
というのも、「オープンワールドの良さ」を考えた時、ディアブロとは相性が悪い。
そもそもオープンワールドといえば、自由度こそが醍醐味だろう。
豊富なサイドクエストと、本筋であるメインストーリー。
広大なマップを探索するのが本命であり、「動機付け」としてクエストを嗜むのだ。
本作にも、大量のサイドクエストはある。探索のオマケとしてのリリス像システムもある。
更には、探索するほど強くなる名声システムもある。探索の動機付けは、十二分にある。
だけど、どうでもいい。どうでもいいのだ。
オープンワールドにおける探索は、自ら進んでやるものだからだ。
いろいろ探索したいけど、探索先の「ガイドライン」としてクエストはあるべきだ。
本作には、美しい景観がない。活気のある、生活を感じる街がない。
地域ごとの、息を吞むような環境変化がない。地域に対して、文化を感じない。
遠くの山々や、どこまでも続くような奈落を見ることができない。
ディアブロの一貫した世界観と、クオータービュー。これが致命的に相性が悪い。
探索をメインにするには、とにかく臨場感がない。変化がない。
結果的に、探索をしたくなる理由がクエストの報酬にしかないのだ。
だから、自由度などない。報酬の為にやるのだから、報酬の強い順でやるしかない。
行きたい景観があるから、そこに向かっていく。そういう自由度がない。
その上、豊富なサブクエストやらが逆に「足枷」になってしまっている。
「めんどくさいけど、動機にはなる」レベルの雑なクエストが、報酬上必須になるからだ。
動機の順序が逆なのだ。だから、恐ろしいくらいに噛み合っていない。
総じて、本作のオープンワールドは残念ながら「めんどくさいだけ」になっている。
正直言って、オープンワールドじゃないほうが絶対に良い。
必須ステータスのために、攻略サイト通りに探索するのは苦行が過ぎる。楽しくない。
エンドコンテンツの多様性と、MMORPG的なシーズン
もう一つの大きな変化点は、エンドコンテンツの種類だ。
まず本作には、アクション性がない。だから、ひたすら強くなる以外の道がない。
その上で、少なくとも3/RoSにおいては、エンドコンテンツは再効率の稼ぎそのものだった。
そのあたりの味つけに、変化はない。本作も、稼ぎと難易度上昇がエンドコンテンツだ。
だが、その「稼ぎ方」の種類自体が、3やRoSのように一強化されておらず、豊富になった。
だから、飽きないようにいろいろと回ることができる。
これは、個人的にはかなり良いポイントだと思う……理論上は、だが。
攻略サイトを見ず、一人用のMMORPGとしてまったりやる……なら、それでいい。
なのだけど、本作はまったり一人でやるようなゲームでは、実際のところない。
本作は、発売早々からシーズン(いわゆるレベルリセット)が短周期で回る。
だから、結構なペースでやり続けないと、普通についていけない。
まったり自分のペースでやることは難しく、効率を求めざるを得ないのが実情なのだ。
だから、種類が豊富になろうと、効率を考えると悠長なことは言ってられなくなる。
現実的に、オンライン的な要素を強くするほど、そして時代の流れとしても、難しいのだ。
稼ぎそのものをコンテンツとするならば、エンドコンテンツの多様性の確保が困難なのだ。
結局は、MMORPGならば
その上で今更白状すると、本作はエンドコンテンツの本当の入口で辞めてしまった。
本当の本当の入口レベルで、ちゃんとしたメタビルドを組むレベルですらない。
だから、本レビューが浅い、とファンの人は言うかもしれない。
コンソールで出ていた過去のディアブロは、一人用MMORPG、みたいなところがあった。
めちゃくちゃゲーム性自体は浅い。でも、脳死で出来る。その上で、自分のペースで出来る。
私は、「疲れた時だけまったり出来るゲーム」として、価値を見出していたのだ。
だからこそ、短周期のシーズンに強制されてやるディアブロは、苦しい。
というか、毎日ひたすらやるゲームとしては、普通にMMORPGやソシャゲをやればいい。
ゲーム性自体が浅いのだから、あえてパッケージのソフトを選ぶ優位性はどこにあるのか?
なんというか、どっちつかずに感じるのが個人的な感覚だ。
買い切りのやり込みゲーにしたいのか、MMORPGとして運営型にしたいのか良く分からない。
これは、今に始まった事ではないのだが、私はそう考えている。
総評
本当に、いつものディアブロ。あまりにも代わり映えしない。
新要素は変化を感じないどころか、面倒な足枷にもなっている。
その上で、令和仕様としてコンテンツ消費に抗うシーズン制を導入している。
だけど私は、「ずっとやり続けること」を買い切りコンテンツに求めていない。
ずっとやり続けるなら、MMORPGかソシャゲのような運営型のゲームに課金をする。
ずっとやることに対してデザインが長けているのは、間違いなくそういうゲームだ。
とはいえ、これは世間的にはマイノリティなのだろう。
運営型と買い切りの合いの子として、世間的には求められているからこその本作なのだろう。
実際、RoSからその傾向は変わっていない。ディアブロはなんだかんだ、MMORPGだ。
ただ、そう考えたとしても、本作はただディアブロ3をリファインしただけじゃないか?
新規ナンバリングとして、何が変わったのだろうか?
ファン目線でも、流石に疑問が残るのではないか?と感じざるを得ない。
まあ、ディスガイア7のレビューでも述べたが、それなりにゲーム自体は良く出来ている。
でも、シリーズを楽しむなら普通に過去作から入ったほうが財布にも時間にも優しいだろう。
その上で、「一生やってたい」となるなら、本作をやるくらいでもいいだろう。
個人的お勧め度: ★★✩✩✩✩✩✩✩✩(2/10)