カルト教団をつくろう ― Cult of the Lamb(レビュー)

爆発的な人気もまた、カルト教団。


[タイトル]
Cult of the Lamb [公式サイト] ※steamリンク

[対応ハード] ※★でプレイ
★PC / PS4 / PS5 / xbox one / nintendo switch

[プレイ時間 / 難易度] ※レビュー時点
11時間 / ノーマル


はじめに

えっ今更このゲーム?
ではなく、今回レビューするのは「Cult of the lamb」だ。
少し前に爆発的に話題になり、数多のプレイヤーが楽しんだゲームだろう。

本作は話題として「カルト」「人糞」あたりがよく取り上げられていた。
そのため、本作を「カルト教団シミュレーション」と思っていた人もいるだろう。
私もそのクチで、がっつりシミュレーションをやる頭で積みゲーを崩した。

ところがどっこい、本作はいわゆる「ローグライトアクション」である。
つまるところ、めちゃくちゃ尖ったテーマでありながら、ゲーム性は珍しくない。

この二つの要素をどうやって組み合わせ、新鮮な体験と出来たか……見ていくとしよう。

 

カルト教団とローグライトのサイクル

まず、ローグライトというジャンルは、本当に使い古されたものだ。
一期一会なランダム要素で強化していくアクションパートと、
恒久的な強化を施してく拠点パートをサイクルし、徐々に深層に潜るものだ。

ローグライトのゲーム性とか、本作の主な流れについてはここでは割愛する。
そのあたりは適宜公式steamとか、適当なレビューを参考にしてほしい。
本記事では、ローグライトアクションとしての面白さを要素分解していく。

ということで、ローグライトとしてどうだったのか、見ていくとしよう。

 

ローグライトとしての面白さ:”上振れ”

ローグライト……またはローグライク。
このジャンルの面白さは、一期一会な緊張感と、一期一会の上振れだ。
……要は、戦闘パートにおいて、「緊張感」と「高揚感」を「乱数」で作れるか、だ。

戦闘パートの強化運が良ければ、とんでもなく無双できる。
とはいえそれはその一回限りのものだから、ミスをして死んだらそこで終わり。
だからこそ、噛み合った時の高揚感と、それを失えないという緊張感が両立する。

だが、これが成り立つのには条件がある。

一つは、戦闘中のランダム要素が””宇宙””を作り出すくらい変数の振れ幅が多いこと。
二つは、変数の振れ幅を“”いい感じに””コントロールできることだ。

一つ目は、全ローグライクの一番気持ちいいところ、だろう。
特定のビルドに向かって装備を集め、良い感じに重なったら爆発する。
そのためには、ある程度乗算でかかってくる複数の強化要素が存在する必要がある。

だが、本作にそれはあまりない。
というのも、本作で回収できるレリックなどの総量は多くなく、効果も高くないからだ。
上手く重ねたとて、そこまで爆発的な強さになることもない。

二つ目は、乱数をどれだけコントロールできるかだ。
これが明確に出来るほど、プレイヤーとしてはライトに気持ちよくなれる。
これが地味であるほど、プレイヤーに知識を要求する地味な気持ちよさとなる。

そして本作のそれは……どちらでもない
というか、残念ながらほぼ選択肢として成立していない。
ビルドは「近接」か「遠距離」かの二択に近く、選択の余地がほとんどない

以上の理由から、本作には「ローグライト」としての上振れを楽しむ余白は無い。
最初にビルドを近接か遠距離か選び、あとは道中で近接強化か遠距離強化かを選ぶだけだ。
そして正直なところ、道中の選択肢がどっちであっても大して変わらない。

 

ローグライトとしての面白さ:アクション

ローグライトアクションは、当然ながらアクション面に大きな期待値がある。
というのも、一期一会のビルドが輝くには、シビアな面がないと意味がないからだ。

そして本作はというと……平均点にやや届かないくらいだろうか。
操作性は悪くない……のだけど、地味に攻撃範囲や判定が直感的でないのだ。
そして、ボスやキャラクターの動きが非常に単調であり、学習要素はほぼ存在しない。

基本、攻撃エフェクトとモーションが被ったがゆえに攻撃を喰らう以外、ミスが無い。
これは、学習や操作によるミスというよりは演出によるミスの誘発であり、
プレイフィールとしては、正直そこまで気持ちの良いものでは無い。

正直なところ、目を凝らして攻撃モーションを見逃さないようにする以外無かった。
学習しようにも動作は単純で一回で対応できてしまうし、
難易度をあげたとて、ミスの要因が不注意でしかないなら、そこに達成感はあまりない。

 

ローグライトとしての面白さ:拠点強化

次のローグライトとしての面白さは……拠点強化(およびアンロック)だ。
いわゆるローグライトでは、拠点強化によって自機の性能がじわじわと強くなっていく。
この強化幅に関しても、ゲームによってだいぶ傾向が異なるように思う。

よくある一つの方法は、底上げをするケース。例えば「冒険メシ」がそうだ。
プレイヤーが気付かないレベルでステータスを底上げし、進行範囲を徐々に拡張するのだ。
実感しにくい都合、“学習”による突破を感じやすく、それを重点とするスタイルだ。

そしてもう一つは、アンロックを重視するケース。例えば「リトルノア」がそうだ。
機能開放やレリック開放など、明確に強くなるようなポイントを意図的に設けるスタイルだ。
これはプレイヤーが拠点強化の恩恵を感じることとなるため、育成ゲーに近い感覚となる。

思うに、基本的にはこれらの複合であることが多い。だが、方向性には差がある。
そして本作はというと……どちらかというと前者に近い方向性になっている。
本作における強化は、攻撃力の増加やライフの増加などの底上げ系が大半である。

その上で、前者であるということは……学習を感じないと、「次」をやる気が起きない。
上手く行った理由が「学習」であると感じられないと、成長が実感しにくいからだ。
それなのに、本作のアクションはかなり単純だし、ビルドの幅は無いし、ボスも単純なのだ。

だから、残念なことに攻略ごとの変化がほとんどない。
ほとんどというより、もう体感では全くないようなレベルだった。
変わり映えのしない戦闘をひたすら繰り返す、そういったゲーム性になりがちだった。

 

ローグライトにはない面白さ:経営シミュ

カルト教団をつくる。
本作の触れ込みというか、一番センセーショナルなところはそこだろう。
そしてそれこそが、本作における一番の強みであるようにも感じた。

本作における拠点強化は、所謂経営シミュ的な要素を含んでいる。
衛生/食事/信仰というパラメータを維持し、建築を行う。
管理に失敗すると信者は離反するし、なんなら自らの手で資材を集める必要もある。

拠点強化が作業的というか、ただの数値要素であることが多い本ジャンルとしては、
経営シミュレーション的な要素がある拠点強化というのは意外と面白いものであった。
経営を上手くやれれば、自己強化の効率も良くなるためやる意味もそれなりにはある。

アクションパートではほぼなかったビルドも、経営パートにはある程度存在している。
どのリソースをどのように確保するか、というところに若干の戦略要素があるのだ。
だから、正直単調なアクションに比べ、こちらの要素の方が圧倒的に面白かった。

だが残念な点としては、結局は”オマケ”だというところだ。
破綻するということはあり得ないような設計(救済措置のようなものがある)であり、
そもそも時間制限がないため、効率を追い求める必要性自体が存在しないからだ。

ほどほどに楽しめはしたが、熱中する要素としては弱い、というのが率直なところだ。

 

ローグライトにはない面白さ:ロールプレイ

ここまで割と評価は高くないのだけれど、一つ本作において光るところを挙げる。
それは「ロールプレイ」であり、カルト教団を作るという過程にある楽しさだ。

先程も述べたように、経営パートではリソースの確保に戦略性がある。
そしてその戦略性は、カルト教団としての“教義”という要素として位置づけられている。
例えば生贄をすると信仰心が増えるとか、そういったところだ。

そして、教団を彩るタイルや建造物などについて、種類がとんでもなく多い。
主要な建造物の種類はあまりないのに、装飾品だけはやたらめったら多い。
タイルも豊富にあり、教団の本部をどのように彩るかにはかなりの自由度がある。

ゆえに、本作は「ぼくのかんがえた教団」を作るという点においては何不自由ない。
この点においては、普通に評価できる内容ではないだろうか。
様々な点における難易度の低さというか、“緩さ”からもロールプレイには適している。

 

総評

ローグライトとしては、平均点以下。
アクションとしても、平均点以下。

ジャンルにはない面白さとしてのシミュレーションも、平均点以下。
だけど、カルト教団を作るというロールプレイにおいては、平均点以上。

平均点以下と言いつつ、普通に遊べる面白さはあることにはある。
だがなんというか、ここまで流行った理由が良く分からないのが個人的な感想ではある。

私としてはローグライトアクションをやるなら、別ゲーを勧める。
だが、カルト教団のロールプレイに興味があるのであれば、楽しめはするだろう。
独特のグラフィックも、好きな人にはいい塩梅のものだろう。

配信者がやるゲームとしてだったり、話のタネとしてはそう悪くないはずだ。
良くも悪くも、ロールプレイの余白を楽しめる環境を要求するゲームだ。

 

 

個人的お勧め度: ★★✩✩✩✩✩✩✩✩(2/10)

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