神速!連撃!狩りは…… ― GOD EATER 3(レビュー)

進化しすぎたが故に、収拾がつかなくなった。


[タイトル]
GOD EATER 3 [公式サイト]

[対応ハード] ※★でプレイ  
★PC / Nintendo Switch / PS4

[プレイ時間/進行度] ※レビュー時点
20時間/ストーリークリア(やり込みコンテンツはやってない)/ ver2.50

※verup後のレビュー。初期verは酷かったらしい


はじめに

今回紹介するのはバンナムの人気シリーズの最新作ことゴッドイータ―3だ。
モンハンをパク……強烈に意識したことから始まったシリーズとして有名だ。
ただあくまでベースが「狩りゲー」なだけで、ちゃんとシリーズとしての強みがある。

スピード感のある戦闘、自由度の高いカスタマイズ要素。
ちゃんとしたストーリーや、キャラゲー的な要素。
そういったものを取り入れた「硬派ではない狩りゲー」というのが本シリーズの特徴だ。

だが、本作はそれらの要素の持つ強みを活かしきれていない。
どの要素も絶妙に味付けを間違えており、惜しい仕上がりとなっている。

ということで、レビューをしていこうと思う。
また、私はGE/GEB/GE2とプレイした上での評価であることをご了承願いたい。

 

なんでも出来るはずが、一番大事なことができない

なんのこっちゃ?となりそうだが、狩りゲーのコアであるアクションの話だ。

ゴッドイータ―3では、過去作よろしく武器/銃身/盾の3つが基本装備になる。
すなわち、どの武器だろうとガードと射撃が出来るのだ。
そして、ステップや空中ジャンプは相変わらずとても高性能だ。

だから、それに比例して相手も素早い。これが「神速の狩り」の所以だ。
しかし、本作は「インフレ」が起きたことにより良さが消えかけている。
何がインフレしたかというと、自キャラと相手キャラの「速度」と「攻撃範囲」だ。

そもそも狩りゲーにおけるアクションの肝として、特定の部位を狙うという戦術がある。
そしてこれは、細かく間合いを調整して細かい角度で攻撃していく必要がある。

素早い相手を追う為に、ステップやステップ攻撃が長くなった。
裏を返すと、徒歩のような細かい調整は出来ない。
大雑把な間合いでも当たるように、攻撃範囲がとても広くなった。
裏を返すと、狙った部位に当てるのは至難の業だ。

こういった理由で、本作の狩りアクションはスピード感はあっても「大味」なのだ。
とはいえ、いくつかの武器は絶妙な調整によりちゃんと部位を狙うことが出来る。
そのような武器を選ぶのであれば、戦闘自体はかなり面白い。

 

結果的な射撃システムの破綻

本作の特徴的なシステムとして、バレットエディットというものがある。
弾丸をめちゃくちゃな自由度で自作することができるシステムで、とても奥深い。
ド派手で気持ちいいバレットを作れるのが大きな魅力のシステムだ。

まず、本シリーズの射撃はリソースを消費し、近接攻撃で充填出来る。
当然自作バレットも……と思いきや、自作バレットは回数制となっておりコストが無い。
今までの作品では、遠距離攻撃と共通のリソースを使っていた。

非自作バレットはリソースがあれば無限に撃てるが、そこまで強くはないし地味だ。
だから、近距離攻撃がしたいプレイヤーはそもそも射撃をする意味が見いだせない
なのに、遠距離攻撃がしたいプレイヤーはリソースを溜める為に近接攻撃を強いられる

だからそもそも、ゴッドイーターの“射撃”システムは破綻していた。
それは遠距離攻撃の手段ではなく、貯めたリソースの開放でしかなかったからだ。
だが、自作バレットの回数制は「リソース開放としての魅力」も消し去ってしまった

とはいえ、バレットの作成自体は相変わらず良く出来ている。
だからこそ、この仕様変更が残念だ。

 

素晴らしきバーストアーツ

本作には、「バーストアーツ」というシステムがある。
これは通常攻撃のアクションを、いくつか強化することが出来るシステムだ。
これは最近のゲームだとモンハンライズの蟲アクションなんかが近い。

ただ、これはモンハンライズのそれと違いちゃんと「カスタマイズ」できる。
この理由は大きく2点ある。

 

まず、プレイフィールが大きく変わるという点。
思うに、狩りゲーにおける攻撃アクションには“役割”がある。
例えば「ダウン用攻撃」「牽制」といった“役割”に、バーストアーツはアクセス出来る。

バーストアーツには、結構な種類がある。
単純に特定の攻撃を強化するだけのものもあれば、フィニッシュ攻撃化させるものもある。
この例なら後者が面白く、本来のアクションの役割を自由に変更することが出来るのだ。

過去作にも似たシステムはあったが、本作ほどの自由度は無かった。
アクションの役割という本質的部分を「カスタマイズできる」という点が非常に優れている。

 

二つ目は、厨二病をくすぐるエフェクトカスタマイズがあること。
バーストアーツでは、入れ替えたアクションに追加のエフェクトを設定出来る。

このエフェクトはかなりの種類があり、少しだけ追加ダメージが発生する。
そしてこのエフェクトが無駄に美しく、どれも魅力的だ。
バーストアーツ自体のエフェクトが綺麗なのもあって、戦闘がとても華々しくなる。

エフェクト自体の火力はそこまで大きくないが、飛び方には種類がある。
アクションに合わせてエフェクトを上手く選択することで、火力の底上げが出来る。
と言いつつも、そこまでの火力差は出ないので見た目重視でも構わない。

見た目だけだったらただの自己満足だし、火力差が大きかったら最適化する以外ない。
バランス感覚が素晴らしいのもあり、とても良いシステムであると言える。

 

こういったシステムは、往々にして「一択化」される。
だから、ちゃんと「カスタマイズ」出来るというのは意外と難しい。
これらの理由から、本作のバーストアーツは本当に優れた要素だと思う。

 

いろいろと足りない

本作は、いろいろと足りない。
それはボリューム的要素だったり、表現要素だったりするのだが。

まず、ストーリーの説明が足りない。動機付けからキャラ付けまであまりにも足りない。
GE自体、初代で「やりたい表現」はやり尽くしてしまったとは思う。
それでも、本作のストーリーはネタ切れというより「表現の手抜き」に近い印象を受ける

次に、ボスのレパートリーが足りない。
骨格自体は足りているといえば足りているのだが、亜種の色付けが弱く少なく感じてしまう。
初代のように見た目が超不気味になった「禁忌種」が居れば違っただろう。

そして、ボリュームが足りない……というより、戦闘の調整不足が正しいか。
じっくりやらせるには数分でミッションが終わるし、サクっとやらせるには理不尽感が強い。
ダークソウル的にすぐ全滅させるか、モンハン的にボス体力増やすなりして欲しかった。

さらに、マップのボリュームや細部における微妙なところが足りない。
マップは変わり映えしない上に数は少ないし、通路だらけで無駄に狭い。
マップ名や武器名の「厨房感」はなくなり、「GEらしさ」の統一感が弱まった。

とにかく調整……というより「ゲームの方向性」を感じることができないのだ。

 

総評

武器を選べばアクション部分は優れている。
ブラッドアーツの完成度は非常に高いし、「神速感」はある。
だが、調整が足りない。明らかに足りない。

射撃システムは破綻しているし、武器を選ばないならアクションは大雑把。
体力設定はどっちつかずで、どういう風にプレイさせたいのか分からない。
世界観やストーリーは説明不足だし、細かいところで粗がかなり目立つ。

とにかく、「ゴッドイータ―をこうしたい」という信念を感じなかった
ベースのアクション部分はかなり光るものがあるし、相当に惜しい
同じ素材であっても、調整に時間をかけていればかなり違っただろう。

ゴッドイータ―3はクソゲーで、ゴッドイータ―4はもうない。
そんな意見も散見されるが、3は「船頭がいなかった」だけに感じる。
個人的にはシリーズの可能性を少し垣間見ることが出来た。

 

ストーリーや濃厚な狩りゲー要素に期待するなら、やるべきではない。
さくっと出来るアクションに期待するなら、良作の部類だと思う。
シリーズ自体に興味があるなら、初代のリメイクがあるらしいのでそちらの方が良いだろう。

 

個人的お勧め度: ★★★★★✩✩✩✩✩(5/10)

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