モンスターハンターシリーズにおける、装備システム上の欠陥
そろそろ最新作のサンブレイクが発売されますね
ということで、アイスボーンをちょっとやり直してみたりしました
色々とやっていく中、特に最近の作品には根本的な欠陥があると感じました
一つ目は、武器種の設計です
二つ目は、装備システムの設計です
これらが、昨今のシリーズにおいて上手く機能していないのです
今回は、二点目である装備システムの設計について書いていきます
まあ私が思うところの書き殴りなので、読み物としてお楽しみ頂ければと存じます
一点目は気が向いたらそのうち書きます
また、基本的にmhpシリーズ/mhwシリーズ/riseでのお話です
DSのmhx作品はやった事が無いので、その辺りはご了承ください
ただ、なんとなく同じ問題がありそうな気はしています
装備とは、ビルドである
え?当たり前じゃん馬鹿なの?
ってのはさておき、文字通り「装備」とは「ビルド」なんですよね
プレイヤーが、好みのスタイルに合わせて選択するのです
この「選択」というのが大事です
これは、私がいろいろな記事で言っているかも知れません
結局のところ、ゲームは選択をさせないとプレイヤーの介入する余地が無いからです
そして、モンスターハンターにおける「装備」は、その意味合いが薄いのです
凡そ90%の装備が事実上選択肢から外れており、機能していません
その理由や改善策などについて、事項で深く分析していきます
また、逆転の発想?としてこう考えられるかもしれません
そもそもモンハンの装備は「ビルド」なのか、と。
ハクスラであって、経過の装備は不要になる宿命なのではないか、と。
そういう設計であるなら、今回の話は的外れなので聞き流してください
ただ、私は「装備選択」も装備システムの意図にあると信じています
武器における欠陥
武器は、モンスターハンターにおける最重要項目ですね
どれだけ火力が出せるか、を定義するメインの要素ですからね
そんな武器ですが、最終装備としての選択肢はいくつあるでしょうか?
属性が強ければ属性が各1つ。
無属性が一つか、二つ。
状態異常がサポートとして、各属性一つあるかないか。
じゃあ結構選択肢あるじゃん、と思いませんか?
ですがこれ、事実上の選択肢ってほぼ無いんですよ
私の思う事実上の選択肢は、以下の3種類しかないのです
- 毒/属性/無属性の中で、最も期待値の高い1つ
- 麻痺の中で、最も期待値の高い1つ
- 睡眠の中で、最も期待値の高い1つ
ここで言う「選択肢」とは、ゲームプレイに変化がある「選択肢」です
属性武器だろうが、大きく戦闘スタイルが変わることはありませんよね?
種類は豊富だし、モンスター毎に最適な武器はなんだかんだ違う。
それでも、ゲームプレイに大きな変化を齎す選択肢になっていないのです
どの武器でも、基本的には特定の弱点を狙って攻略することになるでしょう?
武器における欠陥を、直す
武器における欠陥……つまり、ゲームプレイに変化を齎す選択が無い。
これを改善するには、武器に応じてプレイスタイルを変える動機付けが必要です
既に上手く行っている例は、いくつかあります
- リーチの差別化(MHF)
- 操竜/オトモ采配などのスキル搭載武器(MHW以降)
- ガンランスの砲撃タイプ(MHW以降)
- 操虫棍のボーナスタイプ(MHW:IB)
他にもあると思いますが、この辺りは明らかにゲームプレイに変化があります
こういう武器であって初めて、「選択肢」足り得る訳ですね
「モンスターに対して最高の期待値を持った武器を選ぶ」以外の選択な訳です
では、こういった要素を手っ取り早く追加するにはどうすれば良いでしょうか?
上記のような要素を用意してもいいですが、全武器の差別化は工数上難しいでしょう
そう考えた時、私は属性肉質の仕様変更を推します
属性の肉質を、物理の肉質と大きく反比例させるのです
そうすれば、武器の属性値に応じて狙うべき部位や戦術が変わりますよね?
これは、ゲームプレイに変化を及ぼす要素になります
3パターン程属性バランスを変えて用意すれば、同属性間でも差別化が出来ます
こうすることにより、事実上MECEでなかった武器リストがMECEになるはずです
無属性武器は思いっきり統合するか、無属性のみスキルを設計しても良いでしょうか
ちなみにMECEというのは「抜け漏れなく、ダブりなく」という意味です
期待値上、事実上”重複”していた武器が無くなる、という意味で使っています
うーん意識高いですね
防具における欠陥
防具は、スキルを定義する主な要素です
ぶっちゃけると、防具って「パッシブスキルシステム」なんですよね
そして、モンハンのパッシブスキルには大きな欠陥があります
というのは、「最終的に有用なスキルがあまり多くない」という事です
また、装備毎にスキルの付けやすさに大きな差があるのも問題です
この結果、どうなるかはシリーズを見れば分かるでしょう
最終的には効率のいい防具以外は全て不要で、テンプレゲーになります
登場する防具の大半は、そもそも作成すらしないですよね
ここでの問題で最も大きいのは、「テンプレゲー」な事ではありません
テンプレゲーになるのは、オンラインゲーであれば妥当です
それよりも、「大半の防具に存在意義がない」ことが問題だと感じます
詳しくは後述しますが、これにより狩るべき対象に偏りが生じます
なんだかんだ、防具はそれなりの素材を要求します
それの大半が不要であるということは、狩る必要がないという事になります
防具における欠陥を、直す
防具における欠陥……つまり、スキルと装備が癒着していて選択肢が無い。
スキル上の最高効率を求めるサガから逃れるのは簡単ではありません
これは、単なる防具の問題というより、スキルそのものの問題だからです
スキルの問題は、簡単に言うと「火力と便利のトレードオフ」の弱さでしょう
これを上手い事改善して、全スキルに意味を持たせられれば変わるでしょう
ただ、それはかなり抜本的な改革になるでしょう
そういった中で、僕は「防具を器にする」べきだと考えています
というのも、装備をスロットと防御性能だけのものにしてしまうのです
その上で、スロット強度と防御力/耐性をトレードオフにして多少の差別化をします
防具を作る為の素材は少なくし、周回要素は装飾品の作成に回します
モンスターを狩るのは装飾品を作る為であり、防具はお洒落アイテムレベルに留めるのです
さらに装飾品の要求素材をバラけさせ、満遍なく狩りをさせます
最低限の防御力を得るには、周回は不要。
それ以上の強さを得るなら、装飾品の為にいろいろなモンスターを狩る。
お洒落としての雰囲気は残しつつ、狩りの為の動機を作るような形ですね
というか、MHRiseは装飾品によるスキルスロット制になりつつあります
正直、発動の難しいスキルは装飾品で埋めるのが当たり前だったりします
一部武器なんかは、装飾品スロットだけの防具が最終候補にもなっています
その上で、セットスキルとしてイヴェルカーナのようなものがあればなお良いでしょう
ただアイデア的に難しそうなので、お洒落アイテム化が妥協点としてベターかと思います
勿論、全防具に有用なセットスキルや、スキルバランスの調整が出来るのがベストです
武器防具の欠陥が起こしていること
最後に、武器防具のシステムがシリーズに与えている問題に触れます
これは簡単に言うと、狩りの対象が固定化されるということです
全武器に意味があれば、全モンスターをまんべんなく狩ります
装飾品などで必要なら、全モンスターをまんべんなく狩ります
これが両方ともないなら、強装備の要求モンスターしか狩りません
という風に、武器や防具の固定化がゲームプレイをも固定化します
これは、根本的なゲームデザインにも影響を及ぼしています
というのも、モンスターハンターは繰り返し狩りをするバランスだからです
周回を前提とするゲームとそうでないゲームには、デザイン上の差があります
周回を前提とするなら、アクション性は「高難度なスルメゲー」になるべきです
初回は多少ストレスがあったとしても、慣れれば面白くなる方を選ぶべきです
それなのに、モンハンは周回を前提としつつも周回の動機付けが弱いのです
大半のモンスターは初回のクリア以上にやる必要がありません
周回するのは特定のモンスターだけで、皆がやるからこそ高速周回ゲーに変化します
MHRiseでは、そもそも周回を前提としないバランスに変化したようにも思います
初回を気持ちよくクリア出来るように調整しており、最低限の周回すら不要です
このあたりの扱いは、開発側でも試行錯誤をしているようにも思えますね
ただ、コンテンツ寿命的にはベストではないと思います
お守り周回ゲーミングは悪なのか?
モンスターハンターライズでは、お守りの周回がエンドコンテンツでしたね
これは、効率のいいモンスターをひたすら周回し、お守りガチャを引くというものです
ゲーム性としては、非常にお粗末というか幅が無いものに見えます
ですが、上記のスキル問題を考えた時、ある程度の答えではあるんですよね
お守りが存在するということが、テンプレ装備に対する対抗策になり得るからです
それ故に、お守り周回自体はそこまで悪いコンテンツとも思いません
ただやはり、特に防具における問題は「特定モンスターに偏ること」に思います
お守りをエンドコンテンツにしたいなら、強制的にでも偏りを排除すべきでしょう
日替わり/ランダムでお守り補正の掛かるクエストを配布するだけで大分違うはずです
おわりに
ということで、こんな感じで終わりです
ざっくりまとめるとこんな感じですね
- 属性肉質と肉質を反比例させ、属性配分で武器をMECEにする
- 防具はスロット制にして、スロット数と防御力/耐性のトレードオフだけ残す
- 周回は武器/装飾品でやらせるデザインにする
- 武器リーチ、セットスキルなどは全種デザイン出来るなら搭載
- 防具関連は、満遍なく狩らせる動機付けがあるなら既存でもok
これらの目的は、大きく二つです
武器の「事実上の選択肢」をちゃんと増やすことと、周回の動機を用意することです
また、最近のモンハンはエンドコンテンツへのプレイ時間の偏重が見られます
ですが、装飾品や護石をエンドコンテンツにして時間を吸うのは不健全だと思います
エンドコンテンツは、腕試し的な闘技場系のクエストで良いのでは無いでしょうか?
武器や防具の設計を見直せば、各モンスターを10回くらい狩猟する意味が生まれます
それでいて、無属性武器と適当な防具だけで最低限のクリアはさせることが出来ます
ライトユーザもヘビーユーザも、「メインコンテンツ」を中心にプレイ出来るはずです
ライズは、伝統と革新の境目で藻掻いているような印象を受けました
サンブレイクがどうなるか、楽しみですね