ローグライク・カードゲームへのアンチテーゼ ― Inscryption(レビュー)

その裏切りは、愛があって初めて致命傷となる。

 

[作品名]

Inscryption [公式サイト] ※公式ないっぽい?

[プレイ時間/進行度/DLC]

10時間ほど/クリアまで

 

概要

今回紹介するのはローグライクカードゲームのInscryption。
一度きりのデッキを編成しつつ、シナジーを形成してクリアを目指す。

Inscryptionは至る所で「ネタバレを見ずにとにかくやれ」と言われている。
なのでレビューに入る前に「ジャンルを愛する人ほどお勧め」と言っておく。
何も情報を入れずにやりたいなら、この場でブラウザバックを推奨する。

本レビューはネタバレに配慮して進めていくが、
ある程度ゲーム内容の「仄めかし」になる部分はあるかもしれない。
一応、それらは開始1時間ほどで感じ取れる範囲に抑えているつもりだ。

今回はそれを理解した上で読んでいただけると幸いである。

 

深まる謎と、とっつきやすいカードバトル

本作はローグライクカードというジャンルに該当するゲームだ。
独自のルールに基づいた仮想のカードゲームを題材とし、
ローグライクのように一度きりのデッキを強化して進めていくことになる。

Inscryptionのカードバトルは、比較的とっつきやすく難易度もそこまで高くない
カードゲーマーでなくとも、ある程度問題なく進めることが出来るだろう。

また、プレイヤーは謎の小屋からゲームを開始することになるが、
様々な「謎」が散りばめられており、それらを回収するADV的な面白さもある。

これらのジャンルは、「どちらか片方」になりがちだ。
二つのジャンルを上手い事融合させた、というのは純粋に新鮮な体験に思う。

 

開放されるのはカードではなく「ルール」

一般的なローグライクカードでは、カードやパーク(特殊能力)が開放されていく。
新しい要素を組み合わせて自分だけのシナジーを形成し、攻略するのだ。
ベースとなるルールに変更は入らず、組み合わせによる攻略に専念する。

だが、このゲームをやって30分くらいで気付く。
Inscryptionは、そうではない。
開放されるのはカードではなく「ルールそのもの」なのだ、と。

カードゲームというジャンルでは、ルールは絶対不変だ。
これはカードゲームへの裏切りであり、それゆえに新鮮であるのだ。

 

クリアの愉悦ではなく、真実の探求

ローグライクカード……もといローグライク系ゲームにおける特徴がある。
一度きりの命で何度も破れ、それでも技術を蓄積させ、最後に踏破する。
高難易度で技量のみが頼れる世界においては、クリアの達成感が一番の愉悦になる。

だが、Inscryptionは違う。
ローグライクカードとして、難易度が高い訳ではない。
求められるのはルールへの順応であり、深い技術の蓄積ではない。

ではInscryptionにおける報酬は何なのかというと、真実の探求だ。
InscryptionのADV要素は非常に秀逸で、とても気になる造りになっている。
だから、クリアそのものより謎解きが報酬として機能しているのだ。

ローグライクではストーリーはオマケに過ぎず、本質はクリアの愉悦にある。
Inscyptionではクリアの愉悦はオマケに過ぎず、本質はストーリーにあるのだ。

 

総評

Inscryptionは、カードゲームへの冒涜である。
絶対不変のルールを開放してしまうからだ。

Inscryptionは、ローグライクへの冒涜である。
クリアよりストーリーを重視させるゲームデザインだからだ。

すなわちInscryptionは、ローグライクカードへのアンチテーゼなのだ。

 

本作はカードゲームやローグライク、特にローグライクカードを愛する人程「刺さる」
裏切りを痛感するのは、定石を深く理解しているからこそ、だからだ。
私はそれ程ジャンルに精通していないが、それでもその裏切りを感じることが出来た。

惜しむらくはもう少しジャンルに精通してからやるべきであったことだろう。
やるのが数年後だったら、最高のゲームになり得たかもしれない。
ジャンルを全く知らない人にはお勧めしないし、逆に愛する人ほどお勧め出来るゲームだ。

 

個人的お勧め度: ★★★★★★★★✩✩(8/10)

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