超エキサイティンな2Dホッケーゲーム ― Omega Strikers [Open Beta](レビュー)

キーパーもろともボールを相手のゴールにシュウウウウウウウ!!!


[タイトル]
Omega Strikers [公式サイト] ※steamリンク

[対応ハード] ※★でプレイ
★PC (本リリースはMobile/PS/Nintendo Switchなどで展開予定)

[プレイ時間 / 進行度] ※レビュー時点
50時間程度 / ランク上位1%くらい


はじめに

闇のゲームこと、League of Legends。
圧倒的なゲーム性と、圧倒的なまでの民度と、圧倒的なまでのとっつきにくさ。
操作はシンプルながらも、年々新規参入が難しくなるゲームだ。

そのLoLを作ったriotの元開発者が作ったのが、このオメガストライカーズだ。
内容は3v3の殺人アリのエアホッケーで、少林サッカー的なノリが楽しめる。

操作はシンプルで、ゲームスピードはゆったり目で、スキルも4種類。
LoLと違い、前提として覚えることはあまり多くない。
本当に、サクッとプレイしてサクッと楽しめるような、手軽さがある。

とはいえ、往々にして「手軽さ」には裏の顔がある。
それは、「ただの浅いじゃんけん」の要素を含んでしまうという事だ。
それを回避出来れば神ゲーだが、回避出来ないなら一過性の「消費ゲー」だ。

本作は、オープンベータの時点では「成功したが失敗した」というのが正しいだろうか。
その理由と、本リリースへの期待を込めて、レビューをしていこうと思う。

 

ハイテンポでハイテンション

私がゲームを評価する際、最も重視することの一つとして挙げるのは、気持ちよさだ。
ゲームは娯楽なのだから、純粋に「楽しい」が存在しないといけない。
どれだけ高度な駆け引きが出来ようと、気持ちよくゲーム出来ないなら論外だ。

その点、このゲームはとにかくめちゃくちゃに気持ちいい
勿論、「勝てるから」という部分もあるだろう。
だが、かの「ギルティギアストライブ」のように、気持ちいい瞬間の演出に優れている。

本作の「気持ちいい瞬間」は、「キル」「ゴール」だ。
まずゴールだが、本作はゲーム性からして数分に一回はゴールが決まる。
サッカーのように焦らされることなく、ガンガンゴールが入る。

キルに関しても、これまた良く起きる。
スマブラのような演出で、気持ちよく場外に相手を吹っ飛ばせる。
ゴールキーパーもろともゴールにシュートした瞬間など……もう最高すぎる。

これらが、一試合10分程度の中に、ハイペースで入ってくる。
これが、楽しくないわけがない。

 

「気持ちいい」は、「キレそう」

とまあ、本作のゲームプレイの気持ちよさを書いた。
だが、冷静になって考えてみて欲しい。これは対人ゲーだ。
自分が気持ちよくなってたら、対戦相手は「キレそう」とならないか?

対人ゲーは、この問題に頑張って対処してきたように思う。
味方ゲーにすることで、自己責任感を減らすような試みもされてきた。
逆に、一方的に気持ちよくなれないように、乱数要素を増やす試みもされてきた。

本作は、それらを「丁度よく」配合している。
その塩梅がとても素晴らしく、「不快になる要素」をあまり感じさせないのだ。

まず、キルから考えてみよう。
先程キルは、ゴールへのチャンスとなると言及した。
だが、キルは「必ずゴールに結びつくもの」ではない。そうであったら、ストレスだ。

本作のキルは、「凡そ1プレー分、人数差を作るもの」程度のものだ。
「チャンス」をちゃんと活かせないなら、ゴールを決めるのは難しい。
これは、パチンコの「確変※」のような「パブロフの犬」的な条件反射を誘発する。

そして、ゴールの不快感も極力抑えられている。
確かに、なすすべ無くゴールを決められるのはストレスが溜まる。
だが、本作において大きく実力差が開いている場合、数分でゲーム自体が終わる

実力が五分である場合、ゴールには必ず多くのボールのやり取りが行われる。
というのも、ゴールはゲーム時間に比例して開くようになっているからだ。
それ故に、接戦かスーパープレーの結果としてのゴールとなりやすい。

決定打となる「ゴール」の前段階で射幸心を煽る「キル」のバランス感。
無謀なマッチは、一瞬で終わるくらいのテンポの良さ。
こういった理由から、不快感を感じさせにくい構造となっているように思う。

 

シンプルながら、奥深い

このゲーム、シンプルながら奥深い。これに尽きる。
まずはざっくりと本作のゲームプレイについて、解説をさせて欲しい。
これは、上位1%程度のプレイヤーによる主観であることにはご留意願いたい。


ゲームの仕組み

本作は、2人が「ストライカー」、1人が「GK」のロールとなる。
ストライカーはマップを駆け回ってゴールを狙い、GKは想像通りのGKだ。
プレイヤーは、それぞれ「キック」「移動スキル」「メインスキル」「ULT」が使用可能だ。

キックは極小のクールタイムがあり、ultは長いクールタイムがあり、他は中程度だ。
また本作ではボールのトラップは出来ず、キックやスキルでドリブルをする形となる。

スキルを敵に当てると、吹き飛ばし効果とHPダメージを与えられる。
この吹き飛ばしで、場外に吹き飛ばした場合はキルとなり、少しの間リスポーン待機となる。
要はキルを取ったら、少しの間2v3に出来るというワケだ。

HPが無くなると、スマブラの150%くらい、とにかく吹っ飛ぶようになる。
HPは、この状態中急速回復する他、一定周期で沸くレベルオーブを取ることでも回復する。
要はHPが0になったら一定時間は超危険だけど逃げ切ったら元通りというワケだ。

また、本作には上限10のキャラレベルが存在する。
ボールに触ったり、キルを取ったり、レベルオーブを取る事でレベルが上がる。
レベルに比例し、キックパワーやクールダウンなどがスケールしていく


基本的な戦型

本作には、大きく3つの戦型があったように思う。
「キル」「削り」「ボールコントロール」だ。
これらの戦型を上手く活かし、人数差を作って畳みかけるのが基本だろう。

キルは「直接キル」のことを指し、エリアの端にいる相手を狙い打つ行動のことだ。
端付近のボールやオブジェクトに相手を誘導し、HP100%の相手を確殺するのだ。
結果的に相手は端に寄れなくなり、レベル差やボールタッチで有利を作れる。

「削り」は、体力削りのことを指す。
これは、事実上”端管理”の「キル」より「キル」を主体とした戦術だ。
ひたすら体力を削り、体力2割ほどになったらプレッシャーをかける「時限式」な戦術だ。

「ボールコントロール」は、足の速さでのエリアコントロールに特化したものだ。
相手と殴り合うことはせず、人数差を「足の速さ」で作るイメージだ。
相手のスキルを読んで避け、クールダウン中に仕掛けるようなカウンタースタイルだ。


細かく言うなら、ここにキャラ毎のスケールを加味した戦術などが絡む。
ただ、大きな括りとしては上記の戦型が基本では無いだろうか?
これらを念頭に置いた上で、次項を読んでもらいたい。

 

チームプレーがコアである

本作の基本的な戦術と流れが分かったところで、奥深さについて話していこう。
本作の奥深さの根幹にあるのは、「結局チームプレーである」という事だろう。
けれども、「分からないような個人プレー」が、チームプレーの礎になる。


人数差を演出するのは、個人技である

先程、戦型についてお話した。
ここで重要なのは、人数差の実現には「個人技」が大きいという事だろう。

「キル」をカウンターするには、端付近で相手の確殺スキルを釣ることだ。
これは明確に「個人間の読み合い」となる。
スキルを外したら、クールダウンの10秒ほどはプレッシャーが無くなる。

「削り」をカウンターするには、相手の削りスキルを回避することだ。
相手はボールタッチのタイミングを狙ってくるため、そこで読み合いとなる。
逆を突いて、余った移動スキルなどでフリーな相手を狙うようなプレイもある。

「ボールコントロール」をカウンターするには、相手の反転を妨害することだ。
反転されないような位置でマークしつつ、抜けたらスキルで妨害する。
このようなプレイングで、ボールコントロールをカウンター出来る。

これらは、全て「個人レベルでの駆け引き」が中心だ。
これらが上手ければ上手いほど、チームとしてのシュートチャンスが生まれる。
非常に分かりにくいが、細部の読み合いが後のチームプレーに繋がるのだ。


ゴールの駆け引きは、チキンレースである

本作のシュートの駆け引きは、全て「チキンレース」だ
全スキルにクールダウンがある為、基本的に先に蹴ったほうが不利になるからだ。
それ故に、「如何にスキルを撃たないか」、がキモになってくる。

では、どのような基準で「先に撃つ撃たない」が決まるのか?
それは、ボールの推進力にかかってくる。

本作は、ボールトラップが出来ない。
それ故に、放置した場合は必ずどちらかが先に触れる状況となるのだ。
推進力的に先に手を出さないといけない側が、不利なチキンレースを強いられる。

だが、面白いのが「ストライカー有利な推進力」を作るのが、チームプレーであることだ。
ワンマンプレーだと、推進力が過度に強くなりやすい。
チームでフィールドを横断するようにパスを回せると、丁度いい推進力になる。

ゴールキーパーが基本有利であり、チームで突破する。
ゴールキーパーが「レイドボス」のような役割で立ちふさがるのだ。


総合的に見て、このあたりのバランスがとてもよい。
例えば、「キル戦術」に対し相手のスキルを誘って撃たせる。
その後のクールダウン中にラインを上げ、味方のパスラインを作る。

個人でチャンスを作り、チームでゴールを決める。
これが、バランスとしてとても良いのだ。
自分が上手くやれれば最低限「確変」には入れて、期待感で気持ちよくなれるのだ。

多くのチームゲームは、このバランスが悪いように思う。
ずっと足を引っ張るか、ずっと活躍するかの二極化があるように感じる。

だが、本作は違う。
上手くやれれば気持ちよくなる瞬間はある。だから、上手くなろうと思える。
上手くやれなくても、チームプレーの機会が与えられる。だから、諦めずにプレーできる。

 

チーム構成という、予測能力的な実力反映

本作の戦型について先程述べたが、これにはもちろんキャラ適正がある。
逆に、それらの戦型をカウンターするようなキャラも存在する。
だからこそ、チーム構成がかなり重要になってくる。

相手のやりたい事と、自分のやりたい事を予測する。
それを予測出来ると、試合も有利に進められる。
こういった「インテリ」な勝ち方が出来るのも、本作の良いところだ。

とはいえ、それは「じゃんけん」みたいにならないか?と思うだろう。
キャラと戦型が噛み合ってしまったら、何も出来ないのではないか?と。

だが、本作はそれをいい具合に無効化させる「トレーニング」がある。
トレーニングとは、試合開始前にセット出来るパッシブスキルのことだ。
これは、3つまでセットすることが出来るのだが、効果がめちゃめちゃ大きい。

「雰囲気攻撃力上がったかな?」みたいな、やる気のない要素ではない。
このトレーニングで、大きく戦型を跨いでキャラを運用することが出来るのだ。
だから、「構成じゃんけん」で終わらない面白さと奥深さがある。

 

やや不安定な「トレーニング」

ここからは、本作の欠点について触れていこうと思う。
まずは、先程の「トレーニング」システムからだ。
トレーニングは5色に分かれており、キャラ毎に「固定2+自由1」をセット出来る。

トレーニングの「色」は、色ごとに強化出来る方向性が決まっている。
例えば「橙」は、削り方向でのスキル強化に重点を置いている。
これはトレーニングが強いからこそ、色拘束でキャラ特性を残すためだろう。

だが例えば、「抑制不可能」というトレーニングがある。
これは、キルに絡む「赤」のトレーニングなのだが、効果はこうだ。
「移動速度が恒久的に上がり」「ノックバックを大きく軽減する」。

これ実は、移動速度は「緑」の役割だし、防御は「青」の役割なのだ。
色の役割を無視するトレーニングの存在は、色拘束の概念そのものを否定してしまう。
固定で「赤」を入れるキャラは、実質「青」「緑」が入れられるようなものだからだ。

また、このトレーニングは「メタトレーニング」として機能する。
前述のキル戦術を、ノックバック軽減で大きく削ぐことができるのだ。
その癖、相手がその戦術を取っていなくても、移動速度である程度はペイ出来る。

これが、本リリースでどうなるのかとても不安だ。
こういう「メタトレーニング」が、メタを読み外しても機能するのはまずい
複数役割を持ったトレーニングが存在するのは、ゲームデザイン的にまずい

 

浅く見えてしまう、ということ

戦型は大きく3種類ほどあり、「個人技」が「チームプレー」を生むゲーム性。
試合開始前の展開予想が報われる、構成的な面白さ。
駆け引き全てはチキンレースであり、チキンレースを制するのはチームプレー。

これら全てが、私がこのゲームが「とても奥深い」と思う要素だ。
だが、これらは恐らくボリュームゾーン帯では、一切機能しない。
完全に「個人技」に振れてしまうとさえ思う。

上記の構成や戦型、チキンレースの存在。
これらが理解できていない事には、ただのアクションゲーム的なバトルになる。

事実、シルバー/ゴールド帯は「キル戦術に対し、端ボール放棄」をしない。
だから、毎回端にボールを寄せたら確定キルが取れて、常時2v3状態になる。
こんな状態ではゲームにならないし、実際このレート帯は勝率8割強だった。

キルへの対処が分からず、シュートの駆け引きが分からなかったら?
適当にスキルを打ち合って、適当にゴールに押し込むだけにならないか?
それは、とてもとても浅いゲームと感じないだろうか?

そこを一歩踏み込んで考える奴が勝てる、のは確かにそうだ。
でも、脳死でやった際に「浅く感じる」のは、少し違う。
例え脳死であっても、「次は上手くやれる」と思わせなければならない。

というかそもそも、大半の人は真剣にゲームなどやらない
特に、「社会的価値のないゲーム」を、真剣にやる奴なんてただの異常者だ。
だからこそ、社会的価値の無い「非覇権ゲーム」は、脳死で楽しく無ければダメだ。

このゲームは、丁度よく実力が反映されるし、ハンドスキルはあまり問われない
脳死でやる「理由」になる運要素や、脳死でも上達できる「ハンドスキル」が無い。
これでは、大部分のプレイヤーに「続ける」ための理由を提供出来ていない。

この部分については、公式も認識している模様だ。
本リリースまでに時間を空け、多数の新要素をもって提供をするとのことだ。

 

総評

シンプルで、奥深くて、気持ちいい。
もう一戦が止まらない。だけど、ゲームをゲームとして楽しめないならやる意味はない。
僕は、気付いたら上位1%まで行き……マッチしなくなってしまい辞めてしまった。

とにかく、続ける理由を見出すためのハードルが、高い。
シンプル故に、無駄に考えるのが好きなタイプでないと、続かない。
良くも悪くも、「平成なノリ」だ。日陰者が、意味の無いものを真剣にやる。

βテストのリリースから、急速に過疎が進んでしまったOmega strikers。
「ランダム要素増加」のようなアップグレードの上、2023年に正式リリース予定だ。
「平成なノリ」「令和のノリ」にすることで、再起は図れるのだろうか?

まあ正直言って、僕は「ノリ」の問題ではないように思う。
今や基本無料の対人ゲーは「プラットフォームビジネス」のようなものだ。
面白いものが覇権になるのではなく、マーケティングに成功した一強が勝つ世界だ。

足りないのはインフルエンサーの認知と広告費で、ゲーム性ではないかもしれない。
なんだかんだ、そんなものなのではないだろうか?
僕は、そんな気がしている。

個人的には、「令和ノリ」の浅いゲームにするなら「平成ノリ」の売り切りを希望する。
とはいえ開発陣は「本気」で流行らせることを目論んでいるらしい。
βテストは最高に面白かっただけに、とても期待している。

それはもう本当に、期待している。

 

個人的お勧め度: ★★★★★★★★★★(10/10)

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